熱電対とはどんな原理?温度センサの仕組みを初心者用に解説

電気の知識がまったくないと、『熱電対』といわれても何のことかわかりませんよね。

あるいはセンサーや、どんな種類?と問われても素人にはチンプンカンプンに違いありません。それもそうでしょう、一般的な教養で習うものではないのですから。

しかし、生活の為に仕事に従事しているとわからないでは済みません。そんな電機初心者の方を対象に、今回は熱電対について解説をしていきたいと思います。

本記事が多少でも参考になれば幸いです。

 

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熱電対センサとは?どんな原理?

ICチップの画像

「〇〇をください!」という言葉は、子供でもいえる基本的な買物の方法です。それは言葉が違えど社会に出ても同様のことを言うでしょう。

しかし、「熱電対をください!」という言葉だけでは残念ながら買物はできませんし、意図を理解できても売手も何を売っていいのか困惑してしまうでしょう。

そう、「熱電対をください」という言葉はスーパーで「アイスください」と同義なのです。

アイスクリームという言葉一つでも、カップなのかソフトなのかシャーベット系なのか種類がありますよね。そして、その種類の中から多くの形や味があるはずです。

ですので、『アイスクリーム』という一言では通用しません。

熱電対も同様にこれはただの総称でして、種類・形状・長さ・太さなど多様に存在します。温度を計測するセンサであることは変わりありませんが、それだけでは購入する際に通用しません。

その熱電対の仕組みを知らないと実は相手に意図を伝えるのが難しいことがあります。当然、熱電対を連呼しても購入はできません。

まずはそんな熱電対のその原理から解説していきましょう。

【熱電対の原理とは?】

熱電対というものは、2種類の異なる金属線(一般的に素線と呼ばれます)を結合させると微弱(μV)な電力が発生するということを発見したことから温度の計測用センサとして作られ始めました。

この電力は『熱起電力(通称:起電力)』と呼ばれ、熱の変動と共に発生する電力が変わるという特性があり、それを発見したのが1800年代の物理学者であるトーマス・ゼーベックさんで彼の名前から、ゼーベック効果と呼ばれています。

金属線ですので熱にも強く、その発生する起電力は一定の基準があり温度に対して下記のような起電力をもっている性質であることがわかっています。

あとは簡単です。熱電対から出てきた値に対してこの表の電力を機械装置側で自動的に温度に変換させてやることで現在の温度を計測することができる、ということです。

ちなみに、上記表は熱電対のシェアの約9割近くある『K(通称:K熱電対)』という熱電対の種類のものです。

使用する金属を変えればこの起電力も変わってきますので、温度の取り方が変わってきます。装置側で対応できるセンサとできないセンサがあるので確認しておきたいところですね。

ではそのセンサの種類について見ていきましょう。

【熱電対の種類とは?】

熱電対には『K』以外にもいくつかの種類があります。なぜかって?温度の耐久性などが違ってくるからです。

高温にさらして素線が溶けてしまったら使えませんよね。熱電対は用途に合わせたものが必要なのです。

ここでは、熱電対を使う上で一般的に使用されるものをあげていきたいと思います。これ以外は基本的に1,000件に一回あるかないか程度の超特殊用途で使用するものですので把握する必要はないといっていいでしょう。

・K熱電対

使用金属線:アルメル ― クロメル

使用可能測定温度:-200~1370℃

先にもお伝えしたように、熱電対における9割以上のシェアはこのK熱電対となります。おそらく安く、精度もそこそこあって通常の工業用で使う温度帯を網羅しているからではないでしょうか。

特に指定のない「熱電対の種類」といえばどのメーカーもほぼコレになります。装置側でも対応している機種はおそらく一番多いでしょう。

 

・J熱電対

使用金属線:鉄 ― コンスタンタン

使用可能測定温度:-200~1000℃

日本では古く使われていたもので、いまだにこちらを使っている装置メーカーもあるでしょう。性能も起電力もK熱電対に似てはいますが、すでに取って代わっておりシェアとしてはもうほとんどありません。

指定をしない限り、こちらになることはまずないです。

 

・R熱電対

使用金属線:白金ロジウム 13% ― 白金

使用可能測定温度:0~1760℃

使用できる温度が高いことから高温用の熱電対となります。K熱電対では対応できない温度で使われることがあり、焼却炉など通常より高い温度のもので使用されます。

ですので、1000℃を超える対象を測るときはこのR熱電対を使われることになるでしょう。

問題は、白金なので金額が高いことです。時価ですので熱電対なら数千円のところが、数万かかってしまうこともあります。まさに特殊なセンサですね。

 

・T熱電対

使用金属線:銅 ― コンスタンタン

使用可能測定温度:-200~400℃

比較的金額が安く、常温程度やちょっとくらいのマイナス温度ならK熱電対より精度が高いのでこちらを使われることがあります。

しかし、使用できる温度帯が狭いこと。精度を求めるのであれば測温抵抗体を使うことが多いので、値段をとにかく安くしたいとき以外選ばれることはほとんどありません。

 

この他、S・B・E・N・C・PL-Ⅱなどの規格物のセンサの種類がありますが、特殊環境などにおける特殊な用途で使われるものですので滅多に使われることはありませんので、記憶の片隅程度に他にもあるということをとどめておいて、あえて覚える必要はないでしょう。

【精度について】

さて、何度か精度の話をしてきましたが当然ながら『個体差』というものは存在します。

同じ特性だからといって、ズレているものを使っては最悪事故につながってしまいますよね。だから、最初に大量に素線を作った段階で三種類に選別するのです。

それは、

①クラス1

②クラス2

③クラス3

といったもので、規格にあてはめてそれぞれ精度がいい順にランク分けがされます。

やはり、クラス2が一番生産量が多くなるので通常はそれが使われますが、精度を要求するときはクラス1を指定することもありますね。

逆に、クラス3を使うことはまずないので知識として覚えておく以上のことはありません。

どれくらいの精度かというと、

・KとJ

クラス1:±1.5℃

クラス2:±2.5℃

・T

クラス1:±0.5℃

クラス2:±1.0℃

・R

クラス1:±1℃

クラス2:±1.5℃

ぐらいと把握しておけばいいかと思います。この他、温度条件などもありますが本ブログではあくまで熱電対とはどういうものかをご紹介するものであり、情報量が多くなって読みづらくなるだけなので記載はしておりません。

大体これくらいの精度のものだということを把握いただければと思います。

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熱電対を製作・購入する為にはどうすればいいの?

基盤の画像

さて、ここまでは熱電対の基本となる『素線』の種類。つまり、熱電対の種類を原理と共にご紹介してきました。

ですが、これはあくまで熱電対の種類であってまだ購入に到ることはできません。熱電対線を連呼しても相手には伝わりません。むしろ誤解の元です。

なぜなら線だけもらっても、何もできませんよね?確かに先端を溶接すれば簡易熱電対として使えますが、『設置』はできませんし、線だけでは熱源に直接当てたらすぐ使い物にならなくなってしまいます。

測れるのと、もつのは違うのです。

ではどうすればいいか?それは、設置できるような形状で熱に耐久性のあるものを作ればいいのです。

単純に言えば、このように熱に耐久性のあるステンレスの保護管におさめてしまい、熱源から離れたところから線だけを伸ばして装置に入れてやればいいわけです。ちなみに、この熱電対の素線から延長して接続できるリード線を補償導線といいます。ただの電線では精度がおかしくなるのでいけません。

保護管をつけることで設置はしやすくなりましたが、装置によっていろんなものがあります。

ですので、熱電対センサメーカーは多くの形状を用意していて装置に合わせてつけられるよう形状・太さ・長さ・リード線の長さ・取付用の部品など様々なものを用意し、職人の技で製作しています。

ですので、下記のように販売されているセンサだけでなく一品一葉で仕様に合わせて製作してもらうのが一般的となります。

 


販売されているものはすでに仕様が決まってしまっている為、装置に仕様が合わない可能性が高いので急ぎでなければメーカー、あるいは会社で取引のある電材商社に連絡して打ち合わせするのが無難ではないでしょうか。

 

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形状は多様にあるのですべてをご紹介するわけにいきませんが参考までに、図で見ていただいた方が早いので三つだけあげさせていただきます。

【端子箱型】

どちらかというと、大き目の装置にガッツリと固定をしたい場合はこれを使うことが多いでしょう。

設置はここに任意のサイズのネジをつけたりフランジやヘルールをつけたりと、装置に合わせてセンサを作成し取り付けていく設置方が一般的かと思います。

パイプの太さも変えられるので熱に耐久力がある形状です。

【ネジ込み型】

装置側にネジ穴を持たせ、先端にその穴に合わせたネジを取り付けたセンサです。

先に用意していたネジ穴に取り付けるだけなので簡単です。プレートなどの温度測定にはちょうどいいでしょうか。

【シース型】

シースというのは、先端の感熱部を加工段階でグニーッと伸ばして作ったものです。ですので、柔軟性があります。このようにシンプルな形状にするのが一般的でしょう。

パイプ型と二種類あり、パイプ型は初めから形が決まっている物を使いますが曲げたら折れてしまいます。

しかし、シース型は細ければ針金のように柔らかく自分で任意に曲げて設置できます。太くても治具などを使って曲げれば任意の曲げ加工が客側でできるんです。

勿論、曲げなくても折れるのを防止でシースにする人もいます。

 

こういった形状で、長さや太さなどを決めて製作してもらうのが『熱電対』と呼ばれる一般的なものとなります。

ちなみに、熱伝導を利用するので太ければ太い程熱の伝わりが遅くなります。ある程度仕様が合っていないと不都合が起きる原因となってしまいますので注意しましょう。

他にも用途や環境によってできる仕様・できない仕様があるのでメーカーや商社に相談してみましょう。

 

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まとめ

さて、熱電対についてどういうものかをまとめさせていただきました。

熱電対というのは、熱電対の素線が入った保護管やリード線など形状を伴ったものをいいます。

あくまでここでご説明しているのは、とっかかりとしての基本的な部分です。形状や寸法を決めるのはユーザー側ですが、酸性の強い場所など過酷な使用環境などでは特殊な加工が必要になってきます。

仕様によっては安くないものですので、出来合いのセンサを買うよりメーカーや商社と相談して購入した方が無難かもしれませんね。

もし分かり辛ければ申し訳ありませんが、参考になるのであれば幸いです。

 

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