夏の野菜として甘く、みずみずしく、さらにリコピンという栄養素のある赤い色の野菜であるトマト。
家庭菜園を作ったらぜひ育ててみたい野菜としてはかなり人気が高いものではないでしょうか。
さて、せっかく作るのなら栄養があって美味しい物というのは大前提ではないかと思います。トマトに含まれる栄養や育て方をお伝えしていきます。
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トマトの栄養素とは?
せっかくだからトマトの写真まとめ pic.twitter.com/RO7eaKgBSt
— Nao Kudo (@kudo_70) October 2, 2020
ナス科のトマトというのは、「トマトが赤くなると医者が青くなる」といわれるほどに栄養素を含んだ野菜です。
そのもっとも有名な栄養素がリコピンではないでしょうか。
抗酸化作用があり、悪玉コレステロール(LDL)を低下させて善玉コレステロール(HDL)を増加させるという作用があるとされています。
その他、ビタミンA、B6、C、カリウムなどが豊富で、
- 高血圧
- 消化促進
- 整腸
- 便秘
- かぜ
- 口内炎
- 精神安定
- 疲労回復
に効果的とされています。まとめると「体調を整え疲労回復効果と気持ちを落ち着かせる効果がある」といえるでしょう。
まさに現代病を予防するのに効果的な野菜ではないでしょうか
トマトを栽培するのならまず品種から選ぼう!
スーパーに行くと、一年中出回っていてよく見かけるであろうトマトですが、本来は夏が旬となる夏野菜です。
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そして、そもそもの原産地は南アメリカのアンデス地方で、高温と日当たりを好むのがこの野菜の特性です。
ゆえに育てるのは春から夏にかけての時期になるのですが、この時期というのは非常に病害虫が多い時期となります。
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なので、家庭菜園の経験のない人やこれからトマトを作り始めようという人は、病気に強い品種を選んだ方が無難です。
- 大型福寿
- ひかり
- 栗原
- ホーム桃太郎
- おどりこ
などが家庭菜園では人気があり、比較的病気に強い品種になるでしょう。
なお、ミニトマトの品種となりますと、
- ココ
- ミニキャロル
- サンチェリー250
- プチ
などが高性種となります。
種を買って一から育てるもよし、苗を買って植え付けから始めるもよしですのでホームセンターや園芸店などに行ってその説明を見ながら選んでみるのもいいでしょう。
ただし、種はともかく苗を買う場合の注意ですが、トマトは品種がとても多い野菜となります。ですので、いい加減なラベルをつけているお店もありますので、店員が素人販売のところではなく、しっかりと信頼のおけるお店で買った方が間違いはないでしょう。
苗から育てた方が楽は楽でしょうが、品質にこだわる場合は、苗の時期になると手遅れですし売ってないこともありますので種からチャレンジしてみましょう。
トマトを栽培してみよう!
さて、品種も選んで種あるいは苗を入手したらスタートです。トマトは、
ナス科
発芽適温:25~30℃
生育適温:昼25~30℃ 夜15~18℃
の植物です。
ちなみに、ここでは畑での普通のトマトを育てる方法を解説しています。ミニトマトは少し栽培方法が違いますのでご注意ください。
・植える場所の注意点
じゃあ植えよう!と適当なところに植えるのは厳禁です。まずは、ちゃんと日光のあたる場所に植えるようにしましょう。
トマトの栄養素の多くが太陽の光によって作られているといっても過言ではありません。しっかりと日の当たる場所を選んで植えましょう。
そして、同時に「トマト」「ナス」「ピーマン」といったナス科の植物ですが、連作を嫌います。これは連作障害というもので去年植えた場所と同じ土壌で同じ科の野菜を育てると病害虫などが発生しやすくうまく育たない傾向にある現象です。
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少なくても2~3年はナス科の野菜を育てていない場所に植えることにしましょう。4~5年くらい感覚をあけていると間違いはありません。
・植える時期
種を植える場合は4月の後半になります。
苗を植える場合は5月下旬頃になります。植え付けたら支柱を立てて動かないようにしましょう。
なお、苗を購入する際には色のよい大葉が7~8枚はついたがっしりした方がいいかと思います。
・土の準備
数週間前より、1㎡あたり2握りくらいの苦土石灰(くどせっかい)をまいてよく耕しておきます。
畝幅をだいたい80cmくらいにしておき、中央に深さ2~30cmの溝を掘って元肥を1株あたり堆肥1kg、化成肥料か乾燥鶏ふんなど1握りずつを施して軽くまぜます。
そして、土を埋め戻して畝のできあがりです。
適度な水分が含まれている方が土質としてはいいので、火山灰や砂質土では、あらかじめ堆肥などの有機肥料をたっぷりと施します。
なお、苗の植え付ける場合は植え付け後に厚くおおうように敷きわらなどをするといいでしょう。
【敷きわらの効果】
畝全体を敷きわらなどでおおうことで乾燥防止になり、かつ雨のはね返りを抑えます。そうすることで、病害虫の防除にも効果的なのです。
カビやウイルスなどが雨のはね返りで別の葉に伝染してくのはよくあることですので、被害軽減に繋がります。
・苗を植えつける時のやり方
5月の暖かい日の午前中に植え付けるのがいいでしょう。
5~60cm感覚で苗のポットよりも広く浅い穴を掘り、根鉢をくずさないように植えます。
苗をすえたら堀った土を寄せて軽く押さえながら苗を安定させていきます。
ちなみに、このとき2条植えの場合は花房が通路側に、1条植えも左右どちらかに花房がそろうように苗の向きを決めて植えると収穫の時に楽になります。
・支柱を立てよう
種から育ててきてちょうど5月の中旬を過ぎて購入する苗と同じくらいに育ってきた頃、あるいは苗の植えつけをしたあとに根元から少し離れたところに1.5~2m程度の支柱を立てます。
2条揃えならやや長めの支柱を使うといいでしょう。そして外側に立てて1.5mほどの高さで交差をさせて合掌式にします。
いずれにしても、棒を横に渡して頑丈にしておきましょう。
たっぷりと水やりをしたら、軽く引っ張るように誘引してビニタイなどで止めておきます。
・腋芽摘みをしよう
トマトは腋芽もよく伸びます。ですが、このままですと栄養が分散してしまい一つの果実に渡る栄養が少なくなってしまいます。
ですので、実の数を制限することで効率よく栄養を行きわたらせる為に、家庭菜園では一般的に中心の一本のみを伸ばす1本仕立てにします。
ひょいと出てきてしまう腋芽はみつけしだい、指でかきとるか、はさみで切り落としてしまいましょう。
なお、中玉のトマトやミニトマトは2本仕立てや2花房摘芯5段仕立てにすることもあります。このあたりどうするかは、畑を作っている人しだいかもしれませんね。
・追肥をしよう
2~3週間ごとに2~3回程度追肥をします。
1株あたり1握りずつ油かすや肴かすなどを施して軽く好き込み、根元に土を寄せます。
これも重要な作業ですので、忘れないようにしましょう。
・摘芯をしよう
ここまでくると7月上旬くらいの随分と育ってきた時期ではないかと思います。
本葉8~9枚目に最初の花房をつけたあと、下の方から順に本葉2~3枚ごとに花房がふえていきます。
ただ、肥料不足や冷風にあたったりなどをして第2花房がつくころまでに花が落ちてしまうこともあります。
トマトトーンなどのホルモン剤を使って落花防止や着花促進をするのもいいでしょう。
最終的には第5花房までを残し、それより上は葉2~3枚を残して芯を摘みます。
なぜこの作業が必要かというと、病害虫の発生や高温乾燥で落果する前の8月中に収穫を終わらせる為です。
・収穫をしよう
7月後半から8月が収穫の時期です。植え方や植える時期などによって後にずれることもあるでしょう。
しかし、盛夏の高温乾燥は落花したり病害虫の発生の可能性が増えます。ですので、トマトは早めに成長を促して収穫してしまうのがいいでしょう。
開花後、4~50日程度で実が赤くなりますので十分に赤くなったものを収穫します。
軽く持ち上げるようにして横にするだけで簡単に取れるので、一応虫などにやられていないか確認をして収穫をしていきましょう。
なお、トマトの実を狙う鳥もいますので鳥よけネットなどをしておくと安心です。せっかくここまできて食べられてしまったら悲しいですよね。
トマトの病害虫の一部を紹介
さて、ここまでお伝えしてきたようにトマトは夏野菜ですので一年でもっとも病害虫が発生しやすい時期の植物です。
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モザイク状の斑点ができるモザイク病
などがあります。
いずれも枯れてしまうのでかなり凶悪な病気です。早期発見で対応できるものもありますが、青枯病に関しては対処方法がありません。
土壌の細菌が原因で根から侵入してしまい発病するので、症状がみられた時にはすでに手遅れです。
いずれにしても、連作障害を避け、病気に強い品種を選ぶことで避けられる可能性は高いかと思います。初めての家庭菜園でこのようなことで失敗したくなければ、土や品種選びなどにも気を配りましょう。
ちなみに、トマトにつく代表的な害虫はアブラムシです。放っておくと、さまざまな弊害が出てくるので見つけたら早急に駆除しましょう。
まとめ
さて、トマトの栽培についてまとめてみました。
栄養があり、人気もあるトマトですがしっかりと管理しないと美味しく育ってくれない野菜です。
しかし、無農薬で日の光をたっぷりと受けて作られたトマトは栄養価も高くて健康にいい家庭菜園で誰もが作りたがる野菜といえるでしょう。
連作障害などを避けてまずは病害虫に強い品種から育ててみるといいのではないでしょうか。
本記事が参考になれば幸いです。