猫が顔を洗うと雨が降るなど、古くからいわれているものがありますよね。
多くは、子供に言うことをきかせる為やしつけの為、あるいは危険だからやめさせる為などといった何らかの直接的言葉の意味とは違う理由があったりします。
さて『コイが水面でパクパクしていると雨が降る』という話を聞いたことはあるでしょうか?
今回は、どうしてこういわれるようになったのかを雑学として話をしていこうと思います。
本記事が参考になれば幸いです。
コイが水面でパクパクと口を動かしているのはなぜ?
観賞魚としても、食用としても、あるいは川釣りなどでも古くからよく人間に近いところにいる魚である『コイ』ですが、
『コイが水面でパクパクしていると雨が降る前兆』
ということで言われることがあります。
もちろん、現代日本ではそんなコイのお天気占いに頼るよりもちゃんとした人工衛星から取得した気象観測データより雨を予報するお天気予報の方が信用はできるでしょう。
しかし、一概に古いことわざや言い伝えなんて科学的なデータに基づいていないから迷信だろうと考えてしまうと実はそうではないことが多々あります。
今回のコイについてもその一つといえるのです。
さて、まずはコイが水面でパクパクする状態はどういうことかの話をしていきましょう。
そもそもコイが水面でパクパクすることを『鼻上げ』といいます。
実は夏場によく見られるのがこの鼻上げで、プランクトンが大量発生をした際によく見られる行為となります。
なぜプランクトンが関係しているのかというと、魚は通常はエラ呼吸をしており、その仕組みを簡単に説明をすると水を通過させて体内の二酸化炭素を排出すると同時に水中に溶け込んだ酸素を吸い込んでいるというものになっています。
つまり、水中に混じっている酸素で呼吸をして生きているというわけですね。
それがプランクトンが大量発生をしてしまうと、植物の光合成と酸素のバランスが崩れて水中に酸素が枯渇した状態になってしまいます。
要は人間がはるか高い山で酸欠状態になってしまったのと同じ状況で、さすがにそんな状況で人間は生きていけませんし魚だって変わりはないでしょう。
ですので、息苦しくなったコイは酸素を求めて水面にあがってきてパクパクと口を動かしているように見えるというわけなのです。
が、よくよく考えると人間の肺呼吸とは違って魚はエラ呼吸のはずです。つまり、口から呼吸をすることはできないはずなのにどうして水面でパクパクと酸素を求めるように口を動かすのでしょうか?
実はそれは、水面近くでエラ呼吸をしているだけで酸素を求めてパクパクしているように見えるだけなのです。
なぜなら、単純な話で水面近くの方が空気に近いので酸素のほとんどない水中に比べたら酸素濃度が高いからこそ鼻上げをしているという理由になります。
ではなぜ、雨が降る前兆にコイが水面でパクパクするの?
さて、先の話では相手がプランクトンによる水中の酸素欠乏ということだったのですが、なぜ雨が?と思うところもあるでしょう。
コイがわざわざ水面に出てきて口をパクパクさせるということは、同じく水中に酸素がないということは予想ができます。
実はこれ、ただの言い伝えだけでなく科学的に理屈が説明できる天気予報システムだったりするのです。
というのも、雨は低気圧と共にやってきます。
低気圧が近づいてくると上昇気流で雲が発生しやすくなり、雨になりやすくなるというのが一般的に予想としてしやすいことでしょう。
では、地上ではそういった状況になっている一方、水中はどうなっているのでしょうか。
それは低気圧が近づいてくると、気圧が下がるので水面を抑えつける空気の圧力が小さくなってしまい、水中に溶けている酸素が蒸発しやすくなってしまうのです。
当然そうなると、先のプランクトンの話のように魚は水中で呼吸ができなくなるので、水面に鼻上げをするしかなくなります。
ですので、そういったことが何度も続いたのを見た昔の人が、普段は水中を泳いでいるコイが水面でパクパクをしているところに遭遇すると近いうちに雨が降るといった仮説を立てて言い伝わってきたのでしょう。
現代みたいに科学的な理屈ではないにしても、その生物の行動から予測ができる観察力は昔の人達を称賛するべきなのかもしれませんね。
まとめ
さて、鯉のパクパクによって雨が降るか予想できるということについてまとめさせていただきました。
コイがパクパクしたら雨が降るということについては、あまり今では聞かないかもしれませんが実際にそういう光景をみたら雨が近々降るのかもしれません。
逆に雨予報のある日に、池の鯉を観察してみるのも面白いかもしれませんね。
本記事が参考になれば幸いです。