和牛と国産牛の違いって何?その定義と牛肉の等級について解説

スーパーで精肉コーナーを見ていると、最初に目に入ってくるのはやはり値札かと思います。高いお肉、安いお肉いろいろとありますよね。

そしてふと、気付くことありませんか?アメリカ産などは除外するとしても、日本産のお肉で『和牛』と『国産牛』と名付けられ方に違いがあることに。

えっ、何が違うの?となってしまいますよね。今回はそんな和牛と国産牛の違い、そして牛肉の格付けについて解説をしていこうと思います。

本記事が参考になれば幸いです。

 

和牛と国産牛の違いとは?

牛肉ステーキ

ちょっとしたお祝いのときに「よし、今日はステーキにしよう!」と奮発してスーパーや通販による取り寄せで牛肉を買うことはどの家庭でも一般的に見かけるものではないかなと思います。

しかしまあ、ホイホイとお金を出せるセレブならともかく一般庶民からすれば日本の牛のお肉というのは高い!!

値段を見て土壇場で外国産のお肉に変えてしまうのも、家庭の財布事情を考える主婦にとって一つの選択肢でしょう。

さて、そんなお高めの日本の牛のお肉。よくよく見てみると『和牛』と『国産牛』と明記されています。

『和』ということは日本。『国産』ということも日本。産地が日本なのは変わりないのでは?と小首をひねってしまいますよね?

なんとなーく、和牛の方が高価なイメージがありますが一体何が違うのでしょうか。

結論からいいますと、

「黒毛和牛」

「褐毛(あかげ)和牛」

「無角(むかく)和牛」

「日本短角(にほんたんかく)種」

の4種とこれらの間の混合種が和牛

とされています。

その他の日本で精肉された牛肉は『国産牛』とされ、和牛とは認定されていません。

つまり、和牛肉はこれら5種の牛から採った肉だけの名称であり、和牛は牛肉界のエリートと呼んでも差し支えはないでしょう。

ちなみに、国産牛には乳牛のホルスタインや和牛と他の国産牛の混血など、それから外国で成長させて日本に連れてきた牛も含まれます。

その場合、日本で飼育する期間の方が多い牛に限り日本産と認定がされるのです。

・味の違いは?やはり和牛の方が美味しいの?

では、一般的に高価で美味しくて贅沢なイメージのある和牛ですが、断然美味しくて良いのは和牛と言い切れるものでしょうか。

勿論、そんなことはありません。なぜなら人によって好みが違うからです。

以前は肉厚で脂がのって和牛が一番美味しいとされてきましたが、最近では脂肪交雑(サシ)が入り過ぎた牛肉を敬遠する人が増えてきました。

高いお金出して食べる和牛なんかより、安い外国産の牛肉を焼いて食べる方がお財布にも優しくて嬉しい!こっちも美味しいんだから一度で贅沢するより何度も食べた方がいいじゃない。

という若者もいます。結局のところ、和牛ブランドも人の考え、味覚、お財布事情など人の趣味趣向や事情によって違うものですので、一概に美味しいとはいえませんし、わざわざ食べたいと思わない人もいるでしょう。

それでも、高級牛肉ではあるので味の良し悪しはともかく、贅沢な気分を味わうことはできるのかなと思います。特に旅行などで旅館やホテルで高級和牛を食べのも旅の醍醐味かもしれませんね。

・国産牛肉と輸入牛肉はどれくらい日本で消費されているの?

さて、せっかくなので輸入牛肉のお話もしましょう。輸入牛肉とは外国で育てられた牛が外国で精肉されて、日本に輸入されたものです。

2009年、日本での牛肉の消費量は約120万トンもあります。うち、輸入牛肉は68万トン。実に日本で消費されている牛肉の半分以上は海外からの輸入によるものなのですね。

おそらく生鮮食品売場で見かけると思いますが、

  • アメリカ産
  • オーストラリア産
  • ニュージーランド産

このみっつが生産地として大半を占めています。

値段もやはり輸入牛肉の方が安めですし、脂も少ない傾向ですので消費量から考えても、総合的にこっちで十分!こっちの方が好き!という人も多いのかなと思います。

 

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国産牛肉の等級とは?

さて、そんな『和牛』を含んだ国産牛ですが、温泉地などのちょっとした高級旅館に行くと『地産のA5和牛を使用!』とか宣伝文句にしていたりしますよね。

かつて三大和牛と呼ばれていた、神戸牛・米沢牛・松坂牛といったブランド名はわかるけど「A5ってなんぞや?凄そうだけど凄いの?」となる人もいるのではないでしょうか?

……あ、余談ですがちなみにいまは神戸牛・米沢牛・松坂牛・前沢牛・近江牛のうち三つを指すもので特別定義はありません。

話は戻りますが、実は牛肉は『日本公益社団法人日本食肉格付協会』によってそれぞれが格付けされているんです。

そして、指標となるのが

  • 歩留(ぶど)等級
  • 肉質等級

このふたつです。

細かく説明してしまうと、複雑で面倒でよくわからん!読んでてめんどくさい!解体とか想像してヤダ!となってしまいますので、ここでは一般的知識程度の簡単でわかりやすい説明とさせていただきます。

・歩留(ぶど)等級とは?

要するに同じ体重の牛から、どれだけ食べられる部位(皮・骨・内臓を除いた枝肉)が無駄なく摂れるかで等級が3段階に変わってきます。

  • A:標準より良いもの
  • B:標準程度
  • C:標準以下

なぜこの等級が決められるかというと、牛一体に対して市場価格はこの枝肉をベースとして決められるからです。

多くの肉が摂れた方(歩留等級が高い方)がいい牛とはなりますが、味に関してはその限りではありません。それこそ、プロの目利きの世界です。

とはいえ、以前は牛一頭単位で買い付けを行っていたのですが、現在は品種改良などで大型化していることもあり、部位毎に流通が小売店の主流となってきました。

つまり、牛一頭に対していいのか、悪いのかの目利きなどができなくなってしまったということですね。

 

・肉質等級とは?

肉質等級というのは、4つの要素の評価により構成された格付けとなります。すなわち、

  • 脂肪交雑
  • 脂肪の色沢と質
  • 肉の色沢
  • 肉の締まり及びキレ

の4つです。この評価に応じて5段階で分けられるのが肉質等級というものです。

牛肉は脂肪がのった方が美味しいとされてきましたが、ここでいう脂肪交雑(BMS)は霜降りの度合いを示し、12段階で評価されます。

必然的に、肉質等級が高いとこの霜降りの度合いも上がり、脂がのった牛肉となるわけなのです。

 

・牛肉のランク

上記の歩留(ぶど)等級と肉質等級を合わせたのが牛肉のランクとなります。

ABC(三段階)× 1~5(5段階)の評価でランクが決定づけされるのです。

つまり、A5ランクが最上級で高級で美味しいとされている牛肉です。旅館やホテル、牛肉の専門店などで宣伝されているのはそういったランクの高い牛を使っているからこそといえるでしょう。

しかし、先の通りに最近では肉の脂を嫌がる人も増えており、必ずしもこれがいいとは限らなくなってしまっています。

高級感があるのは確かですが、美味しい!自分の味覚にあっている!と必ずしもなりえないのは確かです。

 

参考までに、通販サイトでの日本三大和牛のリンクを貼っておきますので、お値段とか興味あるかたはご覧ください。

 


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牛肉の部位の特徴とは?

ではここからは牛肉で人気の主な部位の特徴についてご説明をしていきましょう。

一般的にはスーパーなどで売られているラベルに表記されているものですが、ちょっとした雑学のようなものだと思ってお読みいただければと思います。

・肩ロース

肩ロースは柔らかく、もっともきめが細かい部位のお肉となります。ロースステーキというように、ステーキに向いています。

ロース、あるいはロース肉は肩から腰にかけての背中の部分にあたります。

・モモ

ちょっとかための肉質ではありますが、脂身が少なくヘルシーな部位です。

ブロック肉など赤身中心のステーキで使用されることが多いかと思います。

・トモバラ

通称、バラ肉。あるいは牛バラと呼ばれます。

きめの粗いお肉で、繊維質や筋膜が多いですが脂も多く、風味としては濃厚な味がします。

主に牛丼や焼き肉などに使われ、ひょっとしたら大衆的には一番食べられているお肉の部位かもしれませんね。

・ヒレ

一頭の牛から採れるこの部位は実に3%程度しかありません。

ですので、自動的に価格が一番高くなってしまう部位です。

もっともやわらかい部位で、調理の際は焼き過ぎに注意が必要です。

・サーロイン

ステーキといえばこれ!といっても過言ではない名称ですよね。まさに代表的なステーキ部位です。

実は本来は『ロイン』が正しく、ロースと同じ意味を持っています。

ではなぜ、サーロインとなったのかというと、フランス語では「サー(Sir)」という意味に、上級のという意味合いがあります。

つまり、最高級の肉質を持っているということから、頭に「サー(Sir)」がつけられ、サーロインとなったようです。

ちなみに、イギリスのヘンリー8世があまりの美味しさに騎士の称号に「サー」をつけたという説もありますが、真実はどうなんでしょうね。

 

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牛肉の栄養と食べる効果とは?

牛丼の画像

では最後に、牛肉を食べることによってどのような栄養があり、体に対してどのような効果を及ぼしてくれるのかを解説したいと思います。

下記は可食部100gの和牛サーロインステーキ(脂身付)での栄養素です。

  • エネルギー:498kcal
  • 鉄:0.9㎎
  • たんぱく質:11.7g
  • 脂質:47.5g
  • ビタミンB1:0.05㎎
  • ビタミンB2:0.12㎎

 

やはり脂身がついているということで、カロリーはかなり高くダイエット向きの食材では間違いなくありません。

 

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しかし、この脂質。コレステロール値を上げるので摂り過ぎは注意ですが、免疫力の増大させる効果もあり、かぜ予防には最適です。

ほどほどに摂りたいのであれば、赤身の多い部分を買った方がいいのかなと思います。

他、鉄分が豊富で貧血予防になり、さらに牛肉に含まれる良質なタンパク質には人体で合成できない必須アミノ酸が全て含まれています。

これには筋肉の修復や、免疫力増大の効果が見込めますので、食べ過ぎず適度に摂ることで体にとっては有益なのかなと思います。

 

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簡単に効果をまとめると、

  • 貧血予防
  • 免疫力増強
  • 細胞を丈夫にする
  • 風邪予防

といった感じでしょうか。

 

牛肉ひとつとっても、色んな調理法がありますので、

プロのための牛肉&豚肉 料理百科-部位別使い分け・肉の知識 

お肉料理が好きという人はこういった料理本も参考になって面白いのではないかと思います。

 

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まとめ

さて、牛肉についてまとめてみました。

和牛と国産牛の違い、そして牛肉の等級など様々な格付けがされています。旅館やホテルなどでA5〇〇牛のステーキ!とあったりしますが、なんだかよくわからないけど高級そう!というくらいしか知識がないと思いませんよね。

好みは人それぞれですが、やはり知らないと脂がのりにのった牛肉が出てきて、医者に止められているのに「やばい」となりかねませんので、ぼんやりとでも知識としてはないよりあったほうがいいのかなと思います。

本記事が参考になれば幸いです。