毎日の生活でお店に行ったことがないという人は滅多にいないと思います。
お店にはその店の商品が多く並び、売れるのを待っていますよね。
さて、その商品の並び方ですが店員が何も考えずに並べている……ということは多いでしょうが、実はその置かれる位置によって売り上げが違ってくる傾向があるのです。
もし、そこまで人の心理を考えて商品を並べている店員がいるのでしたら、ひょっとしたら気が付かないうちにどれを手に取るのか誘導をされているのかもしれません。
今回は、そんな商品が棚に置いてある位置によって売上が変わるということについて話をしていこうと思います。
本記事が参考になれば幸いです。
人は右側に置かれたものを手に取る傾向がある!
店内を見回すとたくさんの商品であふれ返る店内。
ゆっくりとどんな商品があるのか見て回る人、目的の物だけを探す人など来店するお客さんはさまざまです。
まあ、大抵のお店は同じジャンルで商品をひとつのコーナーとして並べますよね。靴は靴、魚は魚。ゴミ袋はゴミ袋。
これがごちゃごちゃにされて置いてあったら、お客さんは目当てのものにたどり着けないばかりか、そんな乱雑な店は二度と来ることはないでしょう。
キチンと整理されて同じジャンルのものは類似品や関連商品と共に置かれているのが一般的ではないかと思います。
さて、たとえば特別にひいきにしていたり、好みのブランドがない状態で必要だから買うという場合、同じ品質の商品が横並びにされていたらはたしてどれをまず手に取るでしょうか?
実は、心理学上で人は右端に置かれたものを選ぶ傾向にあるのです。
心理学者のニスベットとウィルソンはこのような実験をしています。
同品質のストッキングを4足並べて「どれが一番高級なストッキングだと思うか?」といって、被験者に選んでもらいました。
すると、右端を選んだのは40%、右から2番目が31%、3番目が17%、一番左が12%という実験結果になったのです。
同じ品質のストッキングだというのに、右二つだけで7割の結果となったのはまさに心理的作用が働いているといって過言ではないでしょう。
どうして右を人は選ぶ傾向にあるの?
さて、実験の結果ではあからさまに右に偏って選ぶ傾向がありましたが、はたしてこれはどうしてなのでしょうか?
それは『親近効果』あるいは『終末効果』と呼ばれる心理の作用によるものが影響しています。
これが何かというと、人が最後に認識したものを強く記憶にとどめる傾向があることを、心理学上ではこの効果として呼んでいるのです。
「じゃあ、右から左に見ていけば左側が選ばれるんじゃないの?」
となってしまいますよね。確かに、意図的に誘導をされるのであればそのような選択をされる可能性は高いでしょう。
しかし、ただの一般のお店で自由に商品を選んでいるお客さんを相手に、いちいちそのような誘導は難しいでしょうし、それこそPOPをひとつ立てた方が目をひきます。
では、どうして何もしなければ『右』なのでしょうか?
そもそも、いまご覧になられている文書も左から右。まず現代日本で右から左に読む人はいないかと思います。
それと同じように人の視線は、左から右に移動させていく性質があるのです。
つまり、一番最初に目にするのは左側の商品でしょうが、そこから視線をスライドさせていくことで右端の商品を最後に見ることになる為、意識はまったくないとは思いますが、一番記憶に残りやすいのが『右』の商品というわけで、選ばれやすくなるということなのです。
ひょっとしたら、人が右利きが多いというのも要因のひとつかもしれませんね。だって、右手で取るのなら一番右端の商品の方が取りやすいですから。
さりげに、お店に行って、
「本日のお買い得品!」
「売れています!」
などといった宣伝文句が一番右側の商品に寄っているのであれば、その商品を販売したいというお店の思惑と、人間の心理を利用した販売戦略をとっているという『よく考えたマーケティングをしている』お店である可能性が高いのです。
逆にスーパーやコンビニで置いてある商品を製造しているメーカー側の人も、
「当社商品は、同ジャンルの商品棚の一番右側に置いていただきたい」
といったようにお願いをして並べてもらうと、売上額があがるかもしれないというわけですね。
他にも、先入先出をしてしまいたいが為に、早く売りたいときなどに順番を並べ替えるなどもお店側としては有効な手段かもしれません。
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いずれにしても、消費者は右側にある商品を選ぶ傾向にある、ということは心理学上からもいわれていることですので販売戦略のひとつとして覚えておいて損はないかと思います。
まとめ
さて、棚の商品の並ばせ方で売り上げが変わるということでまとめさせていただきました。
こうしてみると、人間は知らず知らずのうちに心理的に誘導をされて買物をしているのかもしれません。
まあ、あくまで『人の傾向』ではありますが、本気で売上を伸ばしたいと考えているのであれば、販売心理学をまなぶのが一番なのかもしれませんね。
本記事が何らかの参考になるのでしたら幸いです。