レシオバイアスの意味と使い方とは?計装初心者の基礎知識

変換器の種類の中に『レシオバイアス』というものがあります。

とはいえ、いきなり言われたところでこれがどのようなもので、どのような機能をもっている物であるかパッとわかる人は慣れている人だけではないかと思います。

変換器初心者の人にわかれというのは難しいですし、たぶんちゃんと教えてくれる人も少ないでしょう。

なので、レシオバイアスというのがどのような機能のものであるかを初心者用に解説していきたいと思います。

これが参考になれば幸いです。

 

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レシオバイアスとはどんな意味?

グラフ上昇

さて、まずは英単語の意味から考えてみましょう。レシオバイアス。

つまり、

Ratio(レシオ)

Bias(バイアス)

となります。

英単語が得意であれば何となく意味がわかるのではないかなと思います。

レシオは「比率」「割合」という意味です。

バイアスは「偏り」「かさあげ」という意味合いになります。

意味としては素直にそのまま要するに、レシオバイアスという変換器は比率を変えたり、かさあげをして入力した信号の下限値や上限値を変化させられる変換器なんです。

 

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わかりにくいから図で説明!

タブレットにグラフを描いた画像

とはいえ、英単語の文字上だけで何となく理解をされた方はすでに変換器を触っていて、このレシオバイアスという変換器をぼんやりとでも知っている方ではないかと思います。

ですので、レシオバイアスがどう使うのかを図であらわしてみました。

 

 

さて、これが一般的な変換器の信号かと思います。

表記は一番多い4-20mAとしましたが、別に0-1Vでも0-20mAでも構いません。暫定的に4-20mAにて説明しますが、通常はこの4-20mAを0-100%に見立てて使用するのが変換器の動きです。

レシオバイアスはこの0-100%の比率を変えることを目的とした変換器なんです。

 

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たとえば、比率変換器で50%にした場合は上記のように半分の出力に変換をすることが可能になります。

50%と半分の出力にしたことで信号としては4-12mAになります。

そう、これはまだ「比率」を変更しただけです。次は「かさあげ」も合わせてしてみましょう。

さて、こちらも50%「かさあげ」をしてみたことで、12-20mAになりました。

大体お分かりかと思いますが、レシオ(比率)とバイアス(かさあげ)をしたことで、このような出力信号へとできるのがこちらのレシオバイアスという変換器の特徴なのです。

そして、やり方によっては4-20mAで入力されたものを上記のようにちょっと特殊な信号へと変換することもできるんです。

ちなみに、上記はわかりやすく本来のリニアな4-20mAという0-100%の信号でご説明しましたが、逆のパターンもあり、12-20mAのような特殊な信号を4-20mAに戻したりなども可能です。

むしろ、比率とかさあげをいじれるのに、規格にそったリニア信号に変換できないのでは話になりませんしね。

これがレシオバイアスの基本的な使い方となります。

ちなみに、この比率の計算って結構面倒で連立方程式を自分で作って数字を代入して計算をしなければならない機種が多く存在します。

基本となる計算式は同じでも、計算表記などはメーカーによっても少し違うので分かりにくいようでしたらメーカーに直接連絡して、やりたいことを伝えて計算してもらうのが早いかと思います。

 

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どういう使い道があるの?

大きな疑問

便利に信号の割合を変えられるレシオバイアス変換器ということはわかったと思いますが、はたしてどのようなときに使うものとなるのでしょうか?

まあ、本当に特殊な使い方は置いておいて一般的に下記を目的とした使い方をされるものかと思います。

 

  • 特殊な信号(3-8mA等普通と違うもの)を4-20mAなど入力機器側に合わせた信号にする。
  • 通常の信号(4-20mA)をあえて上下幅を抑えた信号にする。
  • 上記2つの理由にプラスして、信号の種類を変える。

 

基本的にここまで図で見てきたことですね。では、どのような場面で使われるのかちょっとだけ詳しくしてみましょう。

【特殊信号を入力機器に合わせる】

センサから出てきた信号に対して、実は入力機器(表示器等)がその入力を受けられないことがあります。

一般的な4-20mA 0-20mA 0-1V 0-10V 1-5V等は一般的な規格の信号として持っているでしょうが、さすがに4-12mAや1-3Vなどといった特殊なものは持ち合わせていません。

※仮に 1-3V(センサ) → 1-5V(表示器等) と入れても0-100%の割合がおかしくなってしまいます。

なので、入力機器側の規格に合わせた信号に変換する必要があるのです。

 

【通常の信号をあえて変える】

なんで規格通りの信号ではダメなの?と疑問になるかと思いますが、0-100%そのままではダメなこともあるんです。

仮にバルブを想像してみてください。0-100%ですと一番開いているときも、閉じているときも最大までギュッとしめこんでしまいますよね。

しめこむということは、それだけ圧がかかります。つまりそれだけ負荷がかかってしまうんです。負荷がかかると劣化も早くなります。

だからあえて、0-100%にならないよう10-90%にしてやってしめこみすぎないように最初から信号を操作して負荷の軽減をするんです。

ちなみにこれは、リニアライザ変換器やリミッタ変換器などでも考え方で代用可能です。

 

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あくまでこれは一例ですが、レシオバイアス変換器の特性を覚えておくと、このようにさまざまな工夫や対処ができるようになります。

 

【信号の種類も変える】

変換器の基本的な機能としては、4-20mA → 1-5V などに信号を変換するのが本来の目的となります。

上記で解説をしてきたように、「比率」や「かさあげ」などをしつつ、さらにこの信号そのものの変換までするということも可能です。

完全に表示器等の入力機器に合わせた信号に変えられるということですね。

ちなみに、レシオバイアスを使うようなちょっと特殊な信号や信号の種類で出てくる海外のセンサを扱っている会社がわざわざメーカーに高いお金を出して、特注でこの機能をもたせた物を製作してもらっている会社もあります。

わからないから、というのもあるでしょうが値段や状況によってはこれ一台の方が経費削減になったり、どこの変換器メーカーでも出しているので「いざ」という時に代替もすぐできたりと実は特注ではないことがメリットになる場合もあります

この辺りは、会社の考え方しだいでしょう。

 

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変換器購入時のアドバイス

 

チェックする社会人

ここで変換器購入時のアドバイスです。

基本的にこういった工業製品はエム・システム技研のような変換器専門メーカー、あるいはアズビルのような空調専門の大手で購入するのが一番安全です。

なぜかというと、名も通っていない中小企業のような温度調節計メインで扱っている『ついで』に変換器を販売していたり、食品・空調・水質・薬品などあちこち違う業界に手を出しているような特化していないところは知識もノウハウも不十分なことが多いです。

場合によっては、満足にテストをしないまま販売するので内部で熱を発して誤差が生じるなどクレームやトラブルの温床になりかねないことが多々あります。

実際にクレームになった事例をよく聞きますし、対応も「相手の使い方が悪いんじゃないか?」と非常に誠意がない回答を貰ったこともあります。やはり大手とは質そのものが違うと感じます。

客先に出す製品だからこそ、安心安全でなければなりませんよね。あくまで故障・不具合は可能性の問題ではあるのですが、大手の方が対応も早く、いざというときの小回りもききますので、メーカーにこだわりがなければ、大手メーカーさんをまず検討した方がいいでしょう。

 

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まとめ

さて、レシオバイアス変換器についてまとめてみました。

多くの需要はありませんが、意外とひょんなことで使ったりするのがこのレシオバイアスになります。

ちょっと計算などは面倒ですが、便利な機種なので計装に関わっている人はいつか使うかもしれないのでどのようなことができるかだけでも覚えておいた方がいいかと思います。

これが参考になるのであれば幸いです。

 

 

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