誰しも必ず一度はポイントカードを作ってみたことはあるでしょう。Tカードなどどこでも使えるような代表的な物から、店舗が発行しているスタンプを押すタイプまでさまざまありますよね。
しかし、このポイントカードですが貯められると確実にお店が損をするというのにも関わらずどこも発行したがるのはなぜでしょうか?
勿論、リピーターを増やすという意図があるのですが他にも商売上の理由が存在するのです。
今回はそんな商売における未完の効果についてを解説していきたいと思います。
本記事が参考になれば幸いです。
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未完の効果、ツァイガルニク効果とはどういうもの?
さて、改めて店舗ごとにポイントカードを発行してリピーターを呼び込むことをツァイガルニク効果と呼びます。
このツァイガルニク効果は口に出すと舌を噛みそうですが、この効果を発見・発表した心理学者のブルーマ・ツァイガルニクという人物に由来した商売上の効果のことなんです。
人間というのは、心理的にまだ終わっていない事、つまり未完のことが気になる性質を持っています。
ポイントカードに至っては、Tカードのように自由に使えるポイントのもの。そして一定のスタンプを溜めると値引きや一回無料といった恩恵を得られますよね。
人によってはわずらわしさを感じることもあるでしょうが、少しでも節約思考を持った人であればこのポイントを貯める為、スタンプが溜まるまで通い続けるということをする人が意外と多いのです。
最初こそ何気なく通っていたのだとしても、それもあとちょっとで恩恵を得られるとなると、徐々にその気持ちは強まっていきます。
「せっかくあと少しでポイントが貯まるから」
「あと何回通えば一回無料になる」
つまるところ、未完の物を埋めたいという心理的効果で優良なリピーターになっていくのです。
もちろん、そこまで通ったお店です。すでに慣れてしまっているのでポイントを使おうが無料券を使おうが、さらに通い続けることになるでしょう。
このように、常連客を作る為のツールとしてお店はポイントカードを発行して客の呼び込みをしようとするのです。
ちなみにこのポイントが無料交換券になったからといってお店が損することはほとんどありません。
Tポイントなどはそもそも、特定の店舗だけでやっているものではないですし、無料券にしてもそもそも、そこまで溜め続ける人は実はそう多くはありません。
そして、「万引き被害で一個盗まれたら10倍は売らなければならない」という話を聞いたことありませんか?
要するに店舗での利益率は一つにつき一割程度の利益をとっているということですが、スタンプ一つにつき一定以上のお金を払わなければつけて貰えないように設定されているはずです。
となると、スタンプを溜めきるまでにそれなりの利益をお店に出しているということですので、ひとつくらい無料にしたところでそれまでの十分な利益をもたらせているのでまず損ということにはならないでしょう。
ましてや、温泉や映画館などは一度無料にした程度では利益にほとんど影響はありません。
なので、一定回数で一回無料と会員にしてしまった方がリピーターとして足しげく通ってくれる可能性が高くなるということですね。
これだけじゃない、ツァイガルニク効果
ツァイガルニク効果がポイントカードという存在に使われているのは確かですが、実は身近なところでさまざまな使われ方をしているんです。
重要なのは、完結していないものは気になるので続けるという人間の心理的な性質のことです。
たとえば、テレビなどで「続きはCMの後で!」とか物凄くいいところでCMに移してしまうことありませんか?
もちろん、その心理効果が通用せずに「うざっ」と思ってその番組を変えてしまう人もいるでしょうが、それはそもそも番組に興味を持っていないからです。
ですが、一定以上の興味を持って視ていたのなら気になって思わず早くCMが終わらないか眺めてしまう人の方が圧倒的に多いのです。
そう、これは視聴者を離さないようにするのが目的なのです。
これに関しては広告も同様のことがいえるでしょう。
たとえば、課金制のニュースなどです。情報を少しだけだして、気になるところで「続きはこちらから」という形で誘導してやると、気になった人が課金して読んでしまうというものですね。途中まで読んだので最後まで読みたいという心理をついたものです。
合わせて、動画配信サービスなどもありますよね。1話無料!と出している動画などはたいていが、1話だけ見せて続きを気にならせるという形になります。
そもそも人間、とっかかりがないと興味すら示しません。ならばとっかかりをわざと与えてやって、課金に誘導する。ツァイガルニク効果を使い、うまく集客できるからこそ、どこも利用しているんです。
マーケティングはいかに客を呼んでお金にするかの勝負ですので、効果的だと思う手段を取り入れるのは当たり前ですね。
まとめ
さて、未完の効果についてまとめてみました。
これも考え方によっては、多くのことに利用できると思います。「後ほど伝えます」とか「楽しみにしておいて」というだけで心理的な効果はあるということですから。
商売だけならず、相手に憶えておいて欲しいことや自分が憶えていなければならないことをわざと中途半端にすることで記憶の定着にも繋がるかもしれませんね。