毎年、春が近づくとその身に葉をつけはじめ、夏になると青々と元気よく緑に色づき、秋になると紅葉して人の視覚を楽しませ、冬になると葉を落として散っていく。
木々というのは一般的にこのサイクルを毎年繰り返しているものですが、なぜ毎年その葉を散らして新たに生やすということをしているのでしょうか?
今回は、木が葉を散らす理由について解説をしていこうと思います。
本記事が参考になれば幸いです。
木がせっかく生やした葉を散らす理由とは?
木というものは、見ているだけでその季節感を楽しむことができます。
春はまだ幼い葉をつけ始め、夏は元気にあふれたような緑。秋は色を鮮やかに変え、そして冬になると葉を散らして春をまた待つ。
普段何気なく見ている木々でも、一年というサイクルを考えるとこんなにも変化をしているのです。
散歩や登山などで森林浴を楽しむという人も少なくはないでしょう。
さて、ふとここで疑問になるのが、
「どうして毎年わざわざ葉を散らすのか?」
ということです。
普段の生活では当たり前にこの木々のサイクルを我々は毎年見守っていますが、よくよく考えてみると、おかしいですよね。
どうして改めて葉を生やす必要がでてくるのでしょうか?そのままつけておけばいいじゃないか、という考え方もあります。
ちなみに、落ちた葉がいつの間にか消えている理由については、下記記事にまとめていますので気になったらご覧ください。
夏が過ぎ、秋になると気温もグッと下がり始めて冬になる準備が始まります。そのときに大量にでるのが、木々の葉(落ち葉)や虫の死がいです。街中であれば、清掃業者や周囲の人間がゴミとして捨ててしまい、焼却炉に入って灰になるだけでしょ[…]
さて、調べてみると実は木々が落葉するには2つ程理由があるようです。
①老廃物の排除
ひとつ目にあげられるのは、溜まった老廃物を排除する為ということです。
人間であれば、毎日おこなっている排泄行為。そして髪や爪、汗や皮膚といったものと同じです。
植物には生物のように老廃物を排出する器官がありませんので、葉先に老廃物がじわじわと時間をかけて溜まっていきます。
後は溜まりきったところを葉を落とすだけで排泄できるのですから、植物としての姿形を考えると効率的な構造といえばそうなのかもしれません。
②エネルギーの省エネ化
もうひとつの理由が、エネルギーの省エネ化です。
春と夏は太陽光がまぶしく照らし出され、光合成を主として成長する木々にとっては少しでもその光を受け止めておきたいところ。
ですので、大きく枝と葉を伸ばして日光からエネルギーを吸収するわけです。
しかし、秋から冬にかけては太陽光の強さは弱まり、気温も低くなることで木々はエネルギーを生産し辛くなってしまいます。
となると、大量に生えている葉は不要になりますし、葉先まで維持する力を保つのも力がいるわけです。
ですので、冬の間は葉を落として冬眠するように休眠し、春にまた起きてエネルギーを取り込んで成長する為に、葉をつけ始めるということなのです。
そもそも、木が葉を落とす前に紅葉する理由は?
さて、木から生えてくる葉の色といえば緑を想像する人は多いかと思いますが、秋になると紅葉してその色を変化させていきます。
一年を通してさまざまな色や姿を見せてくれる木ですが、葉が落ちる前にどうして色をガラリと変化させて我々に紅葉を見せてくれるのでしょうか?
これは木に直接聞くわけにはいきませんので、多くの説が飛び交っています。
たとえば
「虫からの害を減らす為に紅葉する説」
です。
虫は主に緑の葉を中心に好んで食べます。どうやら食欲を感じるのが緑の葉ということのようです。
となると、色を変えてしまえば虫の食欲がなくなり、食害が減るという説。
あとは、葉に含まれる物質の変化によるもの。つまり、
「太陽光から守る為という説」
もあげられます。
というのも、秋口に差し掛かると葉の中に含まれるクロロフィルという物質が減少します。
これは葉が光合成をおこない、エネルギーを取り込むための物質なのですが、少なくなると逆に太陽光が害になってしまうことがあるのです。
要は光合成ができないのに、過剰にエネルギーだけが入り込んだ状態ですね。
そこで、カロテノイドとアントシアンという物質が働き、木々の葉を紅葉させることでエネルギー過多の状態の太陽光を吸収して受け流して害となるのを防いでいるという説です。
いずれにしても、植物という生物が生きていく上での変化なのは間違いはないでしょう。
まとめ
さて、木が葉を落とす理由ということでまとめさせていただきました。
普段の生活であれば、あまりこういったことを考えるということはないと思います。
しかし、ふとしたときに気付くとなんでだろうという素朴な疑問になるような項目なのかと思います。
本記事が参考になれば幸いです。