家庭菜園において、もっとも重要なのはなんでしょうか?陽の当たる場所?水?それが必要なのは間違いありませんが、絶対的に一番最重要なのは土です。
光合成をおこなう陽の光や、水が植物にとっての食事なら土壌は植物にとっての住環境です。人がどんなにいい食べ物をたべられる状況にあっても、廃墟のような場所に住んでいて健康的でいられるでしょうか?
人ですら何かの病気になってしまうような環境なのに、そんな土に根付いて栄養を吸い上げている植物にとってはどうしようもありませんよね。
毒のある植物が土壌を汚している可能性もあります。だから事前の土づくりは大事ですので、勢いだけで栄養も何もない土地で家庭菜園を始めるのは無謀です。
そんな土づくりのやり方をお伝えしたいと思います。
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本記事が参考になれば幸いです。
土づくりの仕方!有機物の多い土を作ろう!
土を育てることを「育土」といい、畑に最適な肥えたいい土地というのは有機物が多い土地となります。
有機物が多いということは、土壌の微生物が増え、肥料がもちやすくなります。この微生物は有機物を分解するときに粘液をだし、この粘液が土の粒子を結合させあい、土の団粒をつくります。
ということは、気相の多い団粒構造の土をつくるということです。
逆にこの有機物が減れば、土壌の微生物は減少して悪い土地へとなっていきます。
ひとつの判断として、土のにおいを嗅いでみましょう。快い香りがすれば放射菌(善玉菌)が多い土地で、かびのにおいがすれば注意が必要かもしれません。
ですので、まずはこの有機物の多い土地を作っていくのが、家庭菜園において最初にやるべき土づくりなのです。
ではその土づくりですが、
- 石灰・堆肥・肥料を準備
- 石灰をまく
- 一週間待つ
- 堆肥をまく
- 石灰と堆肥をまぜる(まぜた後で少し待つ)
- 有機肥料をまく
- よく耕して、土をならす
といったことをする必要があります。ちなみに事前にレンガなどで、畑に道を作っておくと区分けもできるし、作物をうっかり踏む心配もなくなるので便利です。
ではそれぞれ、解説していきましょう。
①石灰・堆肥・肥料を準備
土壌の酸度を中和する石灰、ふかふかの土づくりの対比、野菜の成長を促す為の肥料を準備します。
ホームセンターにも売っていますが、買う量によっては重くなりますので、車で買いに行くかインターネット通販などで買った方が無難ではないかと思います。
②石灰をまく
土というのは、何もしないと弱酸性になっているものです。雨による二酸化炭素の影響や、アルカリ(石灰)分が流れ落ちていく、化成肥料が使われていたなど要因は色々とありますが、弱酸性に傾いてしまいます。
スギナなどが生えていると強酸性になってしまうこともあります。
ですので、石灰をまいてまずは中和する必要があります。弱酸性なら1㎡あたり3握りぐらい、強酸性なら5握りぐらいを目安にまくといいでしょう。
③一週間待つ
まず、石灰を土になじませる為に一週間ほど待ちます。すぐに次の作業に移りたいでしょうが、グッと我慢です。
野菜作りは根気が必要なものですので、放置も野菜作りの一工程です。
④堆肥をまく
有機物の多い土にする為に、堆肥をまきます。
普通の庭土なら厚さ4~5cm、造成したばかりの場所なら10cmくらい堆肥を入れるのがいいでしょう。
ちなみにこの堆肥ですが、しっかりと完熟させておくといいです。未熟な堆肥を使うと、発がん性物質を生じてしまうことや、有毒ガスの発生をさせて植物の根を痛めたり、害虫を呼ぶこともありと弊害をもたらすこともあります。
市販のものでも、完熟していないことがあるので、購入後にすぐ使わずに堆肥置場などを作って熟成させておくといいでしょう。
⑤石灰と堆肥を混ぜる
一週間前にまいた石灰と、まいたばかりの堆肥をよく混ぜ合わせます。
畑の広さによっては大変な作業ですので、ブロックごとや野菜を植える場所の優先順位などを考慮して進めていきましょう。
そしてまた1~2週間程度しっかりとなじみ、微生物や昆虫の活動が活発になって土をふかふかにしてくれるのを待ちます。
⑥有機肥料をまく
元肥として、効き目がおだやかな有機肥料をまきます。
育てる野菜の種類や肥料の種類によってもまく量は違ってきますので、適量をまくようにしましょう。
だいたい300g(3握りくらい)をまくのが一般的な量です。
⑦よく耕して、土にならす
最後によく耕して、土にならして土づくりの作業は終わりです。
野菜づくりを始める前に、それなりに余裕をもった土づくりが必要になります。
とにかく時間に余裕をもって土を作っておいて、備えておくのが大事です。
ミミズを利用しよう!でもいすぎは注意!
ミミズのいる土はいい土と昔からいわれているように、有機栽培農家ではミミズを養殖して利用していることがあります。
ミミズは有機物を食べ、生ごみなど生活における廃棄物はミミズの食事となります。
- 微生物:種類と数が増加する
- 有機物:ミミズの体内を通った有機物は植物に吸収されやすくなる
- 団粒化:土の粒子はミミズの消化物で結合され、綺麗な団粒となる
- 酸素:ミミズの通ったあとに穴があき、空気が通りやすくなる
- 化学成分:酸性の土も矯正されて中性に近づく
このように、ミミズが住み着いていると土の改善効果が見込めます。
が、実は賛否両論の意見もあります。ミミズがいるということは、ミミズが食べるものが多くあまりよくない土壌であるともいえます。
そして、ミミズがいるとモグラが住み着きやすくなります。モグラは肉食なので、ミミズが大好物ですのでミミズがいるところにはモグラが出てくることが多いです。モグラは植物の根をその爪で切ってしまったりと、害獣扱いの生物です。
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ですので、動物性の牛・豚・兎などのふん、魚かす、植物性の野菜くずなどを畑には直接入れずに堆肥に積んでこの中でミミズを養殖して土をつくるといったことをするといいでしょう。
土壌の分類
さて、せっかく家庭菜園をするのならいい土でやりたいものですよね。
ここで欧米諸国が分類する、有機農業型の分類についてご説明していきましょう。これは土壌微生物の状況から分類したものです。
【腐敗型土壌】
残念ながら、家庭菜園で使われている土の9割はこの腐敗型土壌にあたるといわれています。文字通り、よくない土壌です。
土壌に糸状菌(かび・悪玉菌)の含有量が高く、有効な有機物が少ない状態です。このような土地で作られる野菜は病害虫の発生が多くなります。
なぜこのような土壌になってしまうのかというと、化学肥料中心の栽培や肥料の代わりに台所のゴミなどの悪臭のする有機物を使っている場合にこうなってしまいます。
知識もなく、土づくりも何もしていない状態でまったく育っていない状態で家庭菜園を始めてみた、という人の土壌かと思います。
多くの人はここからスタートになるでしょう。
【浄菌型土壌】
土壌の糸状菌が50%くらいまで下がった土壌です。
有機肥料を使って、堆肥、落ち葉類を多く投入し、病菌のない、透過性、団粒化の進んだ土壌の畑になります。
ちゃんと手入れをおこなっている土で、有機無農薬農業をやっている農家はこのような土壌となっています。
【合成、発酵型土壌】
まさに野菜作りに理想的な土壌がこれです。光合成菌や藻類、窒素固定菌などの微生物(善玉菌)が優先して活動している土壌になります。
善玉の細菌類50%、放線菌(善玉菌)40%、糸状菌(悪玉菌)が10%以内となり、土づくり10年の農家が行き着くレベルのものでしょう。
つまり、有機野菜認定マークが出るくらい長くやってきたプロが野菜を育てている土です。
もし畑を借りる場合には、土地の状態を見極めて判断したり、訊いてみるといいかもしれませんね。
まとめ
さて、家庭菜園の土づくりについてまとめてみました。
畑の土は家庭菜園をつくるうえでもっとも事前準備として重要な要素です。適当に肥料をあげるだけでは野菜はうまくいきません。
連作障害などの弊害もありますので、土そのものを休ませたり相性を合わせたりしないとなりませんので、種まきや苗を植える前にしっかりと考えて準備をしましょう。
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本記事が参考になれば幸いです。