お煎餅など、主に乾きものの袋の中でよく見かける小さな乾燥剤。
『食べるな!』と書かれていて、なんとなく危険物かな?と思う人もいるのではないかと思います。
さて、この乾燥剤ですが何となく再利用して他のものに使い回しをできないかと考えたことのある人はいないでしょうか?
特に湿気の多い時期はわざわざ購入するよりも使えるものは使いたいもの。
今回は、乾燥剤は再利用できるのか?ということと、乾燥剤の原理について解説をしていこうと思います。
本記事が参考になれば幸いです。
乾燥剤には実は2種類ある!使い回し可能?
日本人がよく食べるお菓子であるお煎餅。
おにぎりや手巻き寿司などに使われている海苔。
などなど、パリッとしているからこそ美味しい食品がありますが、やはり梅雨の時期や季節の変わり目などどうしても季節や時期、天候模様によっては湿気が高く、食品にも影響を及ぼしやすくなってしまいます。
お煎餅や海苔は乾燥しているからこそ美味しいのであって、ぬら~っとしているようなものはあまり積極的に食べたいとは思わないでしょう。
だからこそ、袋を開けると『乾燥剤』というものが入っており「食べられません」と注意書きされた小さな袋が入っているのです。
とはいえ、どうせ食べられないし捨てるだけなのであまりよく見るという人はいないかもしれませんね。
よくみると、
- シリカゲル
- 酸化カルシウム
という文字が記載されています。
基本的に食品に多く同封されている乾燥剤はこのふたつのどちらかが使われたものがほとんどです。
さて、食品を例に出しましたが食品に限らず湿度が高いとカビが生えやすくなるわけで、可能な限り乾燥させておきたいもの。
たとえば梅雨時の靴箱なども放置していると雑菌が増えて臭いが増してしまいます。それを防ぐ為の乾燥剤ではあるのですが、そもそも一度使用した乾燥剤、はたして使いまわしていいものか迷いますよね。
市販でもこうして勿論売っているわけで、ケチケチしないで新しいものを買った方が確実という判断をする人もいれば、少しでも経費を抑えたいという人もいるわけです。
さて、先に結論からいいますと、
「シリカゲルの乾燥剤は使い回し可能」
ということです。
それでは少し詳しくご説明をしていきましょう。
シリカゲルと酸化カルシウム、乾燥剤の原理とは?
さて、乾燥剤に使われている多くがシリカゲルと酸化カルシウムという話をしてきましたが、このふたつはどう違うのでしょうか?
物質が違うのですから扱いが違うのは当然ですが、シリカゲルだけ使い回し可能というのはどういうことか、それぞれ解説をしていきましょう。
・シリカゲル
シリカゲルの袋をよく見てみると、小さな透明な粒状のものが入っていることがわかります。
この正体は二酸化ケイ素が水分子とくっついた形のケイ酸というものです。要はガラスの成分と同じ物です。
これ、実は化学的にとても安定した物質の為、安全性が高くて仮に舐めたりましてや食べたりしてしまっても人体では消化・吸収はされません。
とはいえ、積極的に食べるものでもないわけで『食べるな』と記載があるのは当然といえるでしょう。
さて、シリカゲルが乾燥剤として使われる理由としては、その吸水性によるもの。
水分を吸水する速度が速く、吸湿力もすぐれているというのが最大の特徴となります。
なんでこんなに吸水性があるのかというと、その内部表面積の広い構造にあるのです。シリカゲルは多くの多孔質構造をしている為に、たったスプーン一杯の表面積がサッカー場や野球場に匹敵するというのですから驚きです。
そして空気中の水の分子がこの穴に吸着する為、強い乾燥効果を発揮します。
ちなみに、シリカゲルは化学的に安定している物質の為、仮にパンパンに湿気を含んだ使用済み状態であってもフライパンや電子レンジなどで加熱して湿気を飛ばせば何度でも繰り返し使えます。
なお、一般的には無色透明のシリカゲルが使われていますが稀に青く着色されているシリカゲルが入っていることがあります。
これは、塩化コバルトを含ませて生成されたタイプで、湿気が入るとピンク色に変色します。
見た目わかりやすいですが、普通の無色透明のシリカゲルに比べ、飲み込んでしまうと体に害をおよぼす可能性があります。
ですので、ほとんど使われることはないですし、万が一にでも食べようとは思わないでください。
・酸化カルシウム
ではもう一方の酸化カルシウムはというと、粒状のシリカゲルと違って粉上のものであることが見てわかります。
生石灰とも呼ばれる白色あるいは灰色の粉末状のものとなり、湿気を含むと化学反応を起こして水酸化カルシウム(消石灰)となり、体積が3倍くらいに膨れ上がります。
ですので、一度湿気を含んだ使用済みのものはもう使えなくなるのです。粉末ではどうしようもないですしね。
そして消石灰の吸湿速度は高湿度の時に速く、低湿度の時には遅いという性質がある為、乾燥剤の役割としては十分にこなすことが可能です。
さらに吸湿時に発熱するという特徴もあり、実は紐をひくと温まる駅弁などに使用されています。
さて、もし飲み込んでしまったらどうなるのでしょうか?
あやまって口に入るとノドが焼けたり、消化器官に影響を及ぼす可能性がある為、へたにいじったりせずに食べ終えたら早々に捨てた方がいいのは確かでしょう。
まとめ
さて、乾燥剤は使いまわせるの?ということでまとめさせていただきました。
実際、中には食品の乾燥剤を集めて使い回しをしている人もいるようで、シリカゲルの方であれば十分に再利用して問題はないかと思います。
一応、化学的には安全とはいえ、食品会社がなにか起きた時に保証はしてくれないので口に含むようなことはやめておいた方が無難でしょう。
本記事が参考になれば幸いです。