1月、2月、3月、4月……いまでは当たり前に使われている月の数え方ですが、かつては『旧暦』と呼ばれ、毎月違う名称で呼ばれていました。
睦月、如月、弥生など今でもひょんなところで名前などで耳にすることもあると思います。特にアニメなどではタイトルになっていたりとかしますよね。
さて、そんな旧暦の月の名前に意味などはあるのでしょうか?それぞれを小難しさをなくして簡単に紹介致します。
本記事が参考になれば幸いです。
そもそも、旧暦ってなに?
旧暦というのは、グレゴリオ暦の前に使われていたひと月の呼び名を総称したものです。
といきなりいわれてもわかりませんよね。
グレゴリオ暦というのは、太陽暦とも呼ばれていて太陽の周りを地球が一周する一年の周期を基準として作られた暦法です。
ちなみに、その前は同じ太陽暦でユリウス暦と呼ばれていました。紀元前45年から制定されており、その名もガイウス・ユリウス・カエサルというローマの執政官が制定したものなのです。
こんな昔からほとんど正確に地球が太陽をまわる周期を計算できていたんですね。
しかし、これにはほんの少し誤差がありました。
ですので、1582年にグレゴリウス13世というローマ教皇が誤差を修正させ、『グレゴリオ暦』となったのですね。
それが日本に入ってきたのは明治六年。つまり、1873年に変更されてそれまでの暦法を『旧暦』と呼び、グレゴリオ暦を『新暦』としたのです。言ってみれば、世界標準に日本も合わせたということですね。
ちなみに、太陽暦は太陽が基準だったのに対し、旧暦は夏至や冬至などといった『中気』と呼ばれるものと月の満ち欠けなどから計算をして算出していました。
加えて、閏月などもわざわざ計算で出していたようですのです。定数をあてはめるだけとはいえ、電卓もない時代に凄いことをしていたんですね。
そんな旧暦の月の名称と由来を次にご紹介していこうと思います。
月(旧暦)の名称と由来
それでは、1月から12月まで旧暦をみていきましょう。まずは、さっと見られるように一覧にしましたのでご覧ください。
月 | 名称 | 読み方 |
1月 | 睦月 | むつき |
2月 | 如月 | きさらぎ |
3月 | 弥生 | やよい |
4月 | 卯月 | うづき |
5月 | 皐月 | さつき |
6月 | 水無月 | みなづき |
7月 | 文月 | ふみづき |
8月 | 葉月 | はづき |
9月 | 長月 | ながつき |
10月 | 神無月 | かんなづき |
11月 | 霜月 | しもつき |
12月 | 師走 | しわす |
おそらく何かで聴いたことのある名称が多いのではないかと思います。
学校の授業でこれを深く掘り下げるようなことはしないでしょうが、それぞれ由来をもっています。といっても諸説あり、現代では雑学以上の知識にはならないのでこの先は読み物としてお愉しみください。
【1月 睦月(むつき)】
1月は新暦では1月下旬から3月上旬あたりになります。中国では春節と呼んでこの旧正月を大事にしていますね。
いまでは元日を『新春』として冬の真っただ中に行い、なぜ?と思う人がいるかと思いますが旧暦の名残なんですね。本来はちょうど冬が終わりかけた春に向けての月となっています。
今でもそうですが、正月には実家に帰って親戚一同と飲み食いをする仲睦まじい様子から『睦び月(むつびつき)』となったのではないかといわれています。
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【2月 如月(きさらぎ)】
2月は新暦では2月下旬から4月上旬あたりになります。旧暦では1月から3月までが春となりますので、仲春(ちゅうしゅん)とも呼ばれます。
「如」という漢字は中国では2月をあらわす漢字として使われてきました。日本でも少なくても奈良時代には使われてきた表現となります。日本に文字が伝わってきたことから転じて「如月」になったのかもしれません。
他にはこんな由来の諸説があります。
・草木が芽吹いて張り出すことから「草木張月(くさきはりつき)」
・まだ寒さが強く衣を更に着る必要があることから「衣更着(きさらぎ)」
・少しずつ陽が伸びてくることによる陽気が更に来る月から「気更来(きさらぎ)」
など、如月に関しては多くの諸説があるのです。
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【3月 弥生(やよい)】
3月は新暦では3月下旬から5月上旬あたりになります。晩春(ばんしゅん)とも呼ばれ、春の終わりを告げる月です。寒さから暖かさに変わってきてちょうど過ごしやすい時期です。
ちなみに「弥生」という漢字は多くの地名やソフト、星の名前などでよく使われている名称ですよね。
その由来は、草木がいよいよ生い茂る月ということから「木草弥や生ひ月(きくさいやおひづき)」を単純化させて「やよひ」となったという説が有力で他の諸説は特別ないようです。
3月は卒業式のシーズンということで、仲間との別れのある月です。社会人もまた、3月末を契機として会社を去って転職や独立をするという人もいるでしょう。合わせて引越しシーズンとして、新たな門出ともなる月なのではないでしょうか?気温[…]
【4月 卯月(うづき)】
4月は新暦では4月下旬から6月上旬あたりになります。夏初月(なつはづき)とも呼ばれ、まさに暑くなっていく夏の始まりを告げる月です。
この頃に卯の花が咲く月だから「卯の花月(うのはなつき)」を短略化して「卯月」になったのが有力な説です。
ちなみに卯の花というのは下記画像の花です。
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なお、その他の諸説としまして、
・この時期に稲の苗を植える時期にあたるので「種月(うづき)」「植月(うゑつき)」「田植苗月(たうなへづき)」「苗植月(なへうゑづき)」
・十二支の4番目の動物が「うさぎ」だからこそ、「卯」となって「卯月」となった
というものがあります。
4月は入学式・入社式などのシーズンで気温も心地いいくらいに暖かくなり、春を感じられる月ですよね。春眠暁を覚えずというように、穏やかな陽気に眠気も強まるのではないかと思います。日本では、何事も始まりが4月という感覚があり新しい生活を迎[…]
【5月 皐月(さつき)】
5月は新暦では5月下旬から7月上旬あたりになります。五月雨月(さみだれつき)とも呼ばれ、まさに梅雨の時期を丸々とあてこまれた時期ですね。
いまでも5月は「さつき」という名前が旧暦の名残として五月晴れなど言葉が多く残っているかと思います。
その名前の由来は田植えの時期から「早苗月(さなえつき)」を短くしたものが「皐月」となったものや、耕作を意味する「さ」が稲作の時期をあらわしていることから、「さつき」になったという説もあります。
5月は前半が心地のいい陽気で、後半が梅雨前のちょっとジメッとした暑さをおぼえるような気温ですよね。最初にゴールデンウィークがあるせいか、ブラック企業などに入社してしまった社会人や理想とのギャップに絶望した社会人が心折れて休みたくなる[…]
【6月 水無月(みなづき)】
6月は新暦では6月下旬から8月上旬あたりになります。水月(すいづき)とも呼ばれ、文字通り水に関係のある月です。
かといって、梅雨真っただ中の皐月が雨や水に関係する名前をしていない為に、ストレートに梅雨が明けて水が無くなる月とは考え辛く、そちらは俗説となっており、田に水を引き込む時期だから水無月となったという説が強いです。
ですので、「水張月(みずはりつき)」などと呼ばれることもあります。
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【7月 文月(ふみづき)】
7月は新暦では7月下旬から9月上旬あたりになります。初秋(はつあき)とも呼ばれ、ようやく暑さのピークが過ぎて秋口に傾いた月です。
ちょうど七夕が含まれる月なので、七夕の短冊に文字を書くように詩歌を献じたり、書物を夜風に曝す風習からつけられたことから「文月」となったのが定説ですが、実は七夕が日本に入ってきたのは奈良時代であり、この定説に疑問を持つ専門家もいます。
稲の穂が含む月であることから「含み月(ふくみつき)」「穂含み月(ほふくみつき)」などといった言葉が短くなった説もあります。
とはいえ、前半は夏真っ盛りですので稲だけに限らず夏の野菜が実を作る時期です。水無月で雨が降らず干ばつなどが起きてしまうと大変な時期だったのではないでしょうか。
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【8月 葉月(はづき)】
8月は新暦では8月下旬から10月上旬あたりになります。秋風月(あきかぜつき)とも呼ばれ、ちょうど秋が深まっていく時期です。最近では地球温暖化により秋が遅れているので、その印象は薄れてきましたが昔は10月にもなると気温も下がりどっぷり秋になった頃合いです。
ですので、木の葉が色づきそして落ちていく時期であることから「葉落ち月(はおちつき)」を略して葉月となった説が有名です。
他にもいくつか説があり、
・稲の穂が張る時期であることから「穂張り月(ほはりづき)」
・雁が初めて来る「初来月(はつきづき)」
・南からちょうど台風が多くやってくる時期にあたることから「南風月(はえづき)」
という説もあります。
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【9月 長月(ながつき)】
9月は新暦では9月下旬から11月上旬あたりになります。晩秋(ばんしゅう)とも呼ばれ、いよいよ秋の終わりに近づいてきた季節になります。
冬に向けて夜が長くなってきたことから、「夜長月(よながつき)」を略して長月としたのが有力な説です。
他の説になると、
・稲を刈る月にあたる為「稲刈月(いねかりづき)」が「ねかづき」となり「長月」となったもの
・稲が熟して刈る時期を迎えたことから「稲熟月(いねあがりづき)」が転じたもの
・稲が長く成長する月という意味の「穂長月(ほながづき)」が略されたというもの
などがあります。
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【10月 神無月(かんなづき)】
10月は新暦では10月下旬から12月上旬あたりになります。神去月(かみさりつき)とも呼ばれ、逆に出雲では神在月(かみありつき)となります。
これがどういうことかというと、この月は全国の神々が年に一度の話し合いをする為に出雲に集まるという伝承からいわれているものです。
ちなみに神々が何を話し合っているのかというと、人々の運命や縁結びなどを相談しているようです。
神様が完全にいなくなるわけではなく、留守番をする神様がいるので大丈夫という話もあれば、神がいなくなるので気を付けなければならない月という話もありと解釈は色々と派生します。
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【11月 霜月(しもつき)】
11月は新暦では11月下旬から1月上旬あたりになります。神帰月(かみきつき)とも呼ばれ、10月の神無月とは逆に神様が帰ってくる月ともいわれます。
まさに冬の寒さが霜を降ろす時期であり、霜月となります。
「食物月(おしものづき)」を短くしたものや、「凋む月(しぼむつき)」「末つ月(すえつつき)」が訛ったものとする説もあります。
新暦の11月ではまだ霜が降りるには寒さが足りないですが、旧暦では冬の初めで気温が落ちてくる時期なのでまさに古い呼び名といっていいでしょう。
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【12月 師走(しわす)】
12月は新暦では12月下旬から2月上旬あたりになります。おそらく12月になればどこのメデイアでも一度は口に出す言葉でしょう。
その意味はまさに忙しくて師ですら走りまわるということです。現代でもそこに通じるものがあり、年末に大掃除をしてやるべきことは年内に。そして、正月は帰省してゆっくりと休む。そんな昔からの風習が残っていますよね。
日本人はずっとこのように誰もが年末は慌ただしく過ごしてきたということですね。
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まとめ
以上、旧暦の一年間の呼び名と由来をまとめさせていただきました。
現代ではほとんど使わないとはいえ、日本人である限り知識として使うこともあるでしょう。
しかし、新暦とは違って単純な数字ではなくちゃんと月によって意味があるものですね。昔の人は月の言葉の意味によって作物などの時期をはかっていたのかもしれませんね。
本記事が何らかの参考になるのでしたら幸いです。