登山初心者が所持していた方がいい道具の中に、コンパスがあります。
コンパスといわれて、小学生の頃に学校で使った方位磁石を最初に思い浮かべたという人は結構多いかもしれませんが、登山用のは方角を見るという基本機能以外まったく別物といっていいでしょう。
登山地図と合わせて、自身が迷ったりなどのトラブルになってしまわないよう必要なものですので、可能な限り登山前に用意をしておきましょう。
ここでは、おすすめのコンパスと、登山用のコンパスとはどういったものかをご紹介していこうと思います。
本記事が参考になれば幸いです。
登山用のコンパスってどういうもの?なんで必要なの?
古今東西、開発されてからというもの、コンパスは多くの人に利用されてきました。
海や山、初めて訪れる大陸など大なり小なり『冒険』に欠かせない道具としてコンパスが存在しますよね。
彼らがなぜコンパスを頼りにしているかというと、進むべき方角を定める為。そして、自分の場所を見定める為、迷わない為です。
そんな大航海時代のようなスケールの大きな話と同じで、登山であっても同じです。
学生時代に習った限りでは、おそらく東西南北を示す為の道具くらいにしか習わなかったかもしれませんが、登山ではこれが重要で迷わない為に必須のものとなります。
- 目標物の特定
- 地図から進みたい方向の読み取り
- 広いピークや平坦地で方向を確認する
などといった、自身の安全に直結して遭難しない為のアイテムとなるんです。
登山初心者が、一応読んでおくかと登山入門書を買って読んでみると「登山は地図が読めて一人前」とか「地図は携帯しておこう!」とか書かれていると思います。「そもそも、コース情報があればいいでしょう。自分は迷わないし、いる?いやいや、いらな[…]
こちらの記事でご紹介した地図と合わせておそらくコンパスを合わせて持っていて使い方さえ知っていれば、年間3000人弱の遭難者の一人にならずに済む可能性がグッと上がります。
登山初心者は、登山地図と合わせてコンパスの扱いをマスターしていくのが、さまざまな難易度のコースへとステップアップしていく条件のひとつと言えるでしょう。
どんなコンパスを買えばいいの?おすすめは?
ということで、いざコンパスを買いましょうといっても「はたしてどれを買うべきか?」と初心者の人はなってしまうのではないでしょうか。
なんか見たことない多機能そうなコンパスはよくわからないから使いこなせるかわからないし、スマホの電子コンパスとか腕時計のコンパスで十分じゃない?
と思ってしまうかもしれませんね。確かに方角くらいは確認することができるでしょう。
しかし、地図と合わせて使うにはちょっと不十分。その多機能なコンパスを購入した方が何かと便利なんです。
ここでいう多機能なコンパスとは回転盤(別名:リング)がついたベースプレートコンパスを指し、地形図と合わせて自分の位置や向かう方向に対して正確に測るにはこの回転盤が重要なんです。
とはいえ、多様な種類が登山専門店やインターネット通販を覗くと存在していてどれを選ぶか非常に迷うかと思います。
基本的には好みで選ぶといいですが、
初心者でしたら個人的にはコレがおすすめです。
イギリスのトレッキングブランドの正規品で、コンパクトで軽く非常に使いやすいベースプレートコンパスです。
金額も¥2,500-もせず購入でき、必要な機能は全て揃っているといっていいでしょう。
なぜそんなことが言えるのかというと、
こうして購入して使ってみたからです。
たぶん、ベースプレートコンパスを見たことない人には意外な小ささに驚くと思いますよ。
なにせ、この外箱ですらこのくらいの大きさですので、まさに手のひらくらいのサイズといっていいかと思います。
重さも、本体の重さが31gですのでとにかく軽いです。
ですので、持ち運びという意味ではまったく負担にはならないでしょう。
さて、では開けてみましょう。
ベースプレートコンパスがどのような機能があるのか解説
ということで開封をしてみると、袋に入ったコンパスと首掛け用のストラップが封入されています。
この時点で、
「うわっ、目盛りがいっぱいついてる。使いにくそう」
と思うかもしれませんが、そこまで実は複雑なものではありません。
どういうものかを理解すればおそらくさして難しいものではないということをわかっていただけるかと思います。
本記事では、扱い方法は別記事にてまとめるとして、コンパスの各部名称(といっても正確に決まった呼び名はないのですが)と簡単にどのようなことに使うのかまでをご説明しようかと思います。
さて、ストラップやら箱やらはいまのところどうでもいいので、袋から肝心の本体を取り出してみました。
これを見て、パッとどのように使うのかを理解できた方は測量の知識があるか、あるいはこういった物が得意なセンスがある人かもしれません。
よくわからない、という人でも大丈夫です。要は覚えて慣れるだけなのですから。
それでは、ひとつずつ説明していきますね。
①ベースプレート
ベースプレートは透明の四角い板の部分です。
透明なので下が透けて見えるということに重要な意味があり、登山地図や地形図の上に置いた時に地図が見やすくなっています。
周囲の地理状況がわかりやすいと、いちいちコンパスを離して見比べる必要がありません。
②各目盛
目盛がみっつもついていますよね。何でこんなに目盛がついているの?というと、距離計測用です。
こちらのコンパスは『50000分の1』と『25000分の1』といった一般的な登山地図や地形図に対応しています。
いちいち、定規で測って、
「何センチだから5万倍して……」
などの距離計算をしなくても、一発で直線距離がわかるようになっています。ゆえに、ここでの数字の単位は「km」となります。
一方で、下部の『定規』の部分はなにかというと、ただの定規です。
何かの大きさを測りたいときに使ったり、縮尺の違う地図で利用したりと難しく考える必要はなく、便利に使えるものかと思います。
幼い頃から、『長さ』というのは何らかで使用され、人生においてあらゆる場面でなくてはならない単位です。身長の長さ、歩いた距離の長さ、家具の寸法など何においても長さとは切っては切ることができないものです。そして、小学生になると定規を使い[…]
③ベースプレートの矢印
パッと画像を見た時に何だこの矢印、と思った人はいるかと思います。
しかし、これにも重要な意味があり、コンパスを構えた時に目的となる進むべき方向に向けるものです。
これが描かれているか描かれていないか違うだけで、自分の目的となる方向に進むべきイメージも違ってくるでしょう。
④回転盤(リング)
さて、多くの登山初心者の人が一番疑問に思ったのがこの回転盤ではないかと思います。
「えっ?こんなのどう使うの?」
と思うでしょうね。使い方については別記事にてご説明しますが、それぞれちゃんと役割があるものです。
まず回転盤(リング)そのものは固定されているものではなく、ぐるぐると回すことができるものです。方位の度数線が細かくありますよね。この回転盤を回すことで、回転盤矢印も向きを変えていきます。
磁針を見ながら、回転盤矢印を磁北線と平行になるように合わせることでこの回転盤が現在地を示すのに使えるようになるのですが、いきなりごちゃっと言われても分かり辛いかもしれませんね。
要はこの回転盤をうまく使うことで、山中で迷ったりしたときや、迷わないようにすることができるということです。
真北と磁北の違いについて解説
さて、全ていきなり理解をしなくても、小さなコンパス一つに多くの機能がついていることは少なくてもわかったのではないでしょうか。
これくらいの機能があるからこそ、登山では有効で道しるべとなるものがコンパスなので、続けていきたい気持ちがあるのであれば、購入しておくことをおすすめ致します。
最後に、真北と磁北の違いについてを簡単にご説明して本記事を終わらせたいと思います。
「はっ?北は北じゃないの?」
と思うかもしれませんね。
学校でもコンパスの針が示しているのは北と教えているでしょう。
大雑把にいえば合っているでしょうが、実は厳密的には違います。
本来、真北といえば地図上のうえである北極を想像するでしょう。磁石のN極は当然そちらに向いていると思いますよね。
しかし、コンパスの針が向く先は、日本からいえばカナダの北部にあたる場所を指し示しているのです。
このズレを「磁気偏角(じきへんかく)」といい、N極の指す先を「磁北(じほく)」といいます。
つまり、日本からいえば5°から10°くらい真北と比べると西側にズレが発生しているわけですが、そのことを「西偏(せいへん)」といい、地形図などにはちゃんと示されています。
しかし、これは年毎にわずかにズレが発生してしまうので、古い地図をもっているのなら更新の必要があるでしょう。
さて、コンパスの指し示す先は真北ではなく何度かズレがある。しかし、地形図は西偏は書いているとしても、真北を向いたものしかない。
この誤差、どう埋めるの?
と疑問に思うでしょう。大丈夫です、コンパスの回転盤にちゃんと度数が書いてありましたよね?そこで合わせることができるので安心してください。
あくまで知識として真北と磁北は違う。多機能な登山用のコンパスなら地図上の調整も可能であるということは把握しておいた方がいいかと思います。
磁北線の実際の引き方は下記記事にて解説しています。
登山で地図を買った。コンパスを買った。後は何とかなるだろうと思ってコンパスや地図の使い方をわかっていないという人は多いのではないかと思います。確かに、それ単体でも登山用の地図はマッピングとして、コンパスは進むべき方角を指し示すものと[…]
コンパスの実際の使い方は下記記事で解説しています。磁北線の引き方を把握してからご覧になることをおすすめ致します。
登山を始めようと思って、いわれた通り地図を買った。コンパスを買った。はい、どう使うのか分かりません。となったりはしていないでしょうか?まさにコンパスは使い方がわかれば登山者の強い味方になりますが、使い方がわからなければどうしようもあ[…]
今後も続けるかわからないけど、一応持っておこうというのであれば購入を。
そもそも、登山自体を続けるかわからないというのであれば、
こちらのようなレンタルもありますので、他の登山道具一式と借りてしまった方が試すこともできて安くつくのではないかと思います。
まとめ
さて、登山用のコンパスについてまとめさせていただきました。
登山地図と共に、コンパスはもっていて非常に便利なアイテムですし、いざという時に自身を守ることにも繋がるものです。
何万もするような高いものでもないので、使う使わないは別にして持っておくと安心です。