夏になったらお中元!年末が近づいたらお歳暮!
毎年のことですが、何件も贈ると地味にお金がかかりますよね。
ちょっと、ちょっと、お中元(お歳暮)って高くない?と思った人は少なくはないのではないでしょうか。
今回は、そんなお中元やお歳暮がなぜ売れる?ということのお話をしていこうと思います。
本記事が参考になれば幸いです。
お中元やお歳暮はなぜ高い?デパートの戦略心理
夏が近づいてくると、あるいは年末が近づいてくるとどこのデパートでも特設コーナーを置くものは当然、季節用品。
そして、その季節用品のひとつに『お中元・お歳暮』というものがあります。
お世話になっている企業向け、あるいは恩師や親兄弟・親戚などに毎度送っているという人も多いかと思います。
最近では、企業同士……特に大きな企業ではコンプライアンスを重視し、何か贈り物を受け取ると心情的に賄賂にあたるということで、各取引先に差をつけない為、受け取りを拒否する厳格な会社も増えてきました。
……というのを建前にする、虚礼廃止。つまり、中身を伴わないで表面上だけの挨拶をやめようという会社も少なくはありません。
取引があまりなくても、一応何かあった時の為に大企業と繋がっておく為に礼儀的なことだけをしておこうという会社が多かったわけで、大企業側も会社の利益にならないものを毎年贈られてくるもののチェックやらお礼などをやっていると大変ですので、勘弁してくれというのが正直なところかもしれません。
そんな風潮もありますがそれでも根強く残り、売れている季節の風物詩がお中元やお歳暮です。
さて、一般的にこの贈り物。クソ高いですよね。
油の詰め合わせが3000円だったり、一本100円にも満たない野菜ジュースの詰め合わせが2~3000円という金額で普通に売られていたりします。
ちょっとしたスーパーの特売日で買えば半額くらいなのに、どうしてこんなに高くても売れるのでしょうか?
いえ、その前にどうしてそんな高いものをデパート側も強気で出せるのでしょうか?
そこには、お中元やお歳暮ならではの理由があったからといえるのです。
結論からいえば、値段帯を分けているから高くても売れるというのが答えとなります。
たとえば、このように3種類のお中元やお歳暮を選ぶ商品の価格帯があったとします。
贈る相手は便宜上、課長・部長・社長の3人として予算は1万円とします。
あなたでしたら、どのように贈りますか?
ほとんど考えるまでもありません。このように、課長・部長・社長の順に立場によって値段帯を変えるのが普通です。
3000円を三つ贈るという選択肢もないことはないですし、やってしまう人もいるでしょうが社長の立場の人間が課長と同じグレードの贈り物をされていたことを知ると、いい気分はしません。
「心が小さい」
といわれるとそうなのでしょうし、笑って済ませる心の広い社長であればいいのでしょうが、残念ながらそのような人格者の社長はほんの一握りです。
ですので、お中元やお歳暮は立場によってグレードを変えるのが一般的です。
そして、それをわかっているのがデパートで、うまくこのように仮に類似や似た商品でも値段や内容を変えてグレードを何段階かに分けています。
これを『プライスライニング(価格帯戦略)』といいます。
つまり先の話より、消費者側にとっては最初に決めた予算と、相手の立場によってグレードを変えることが考えの優先となりますので、価格の損得勘定は薄れてしまうわけです。
これは売り手にとっては非常に都合がよく、平時では絶対に売れない金額でもお中元やお歳暮といった季節の特別感を出すことで、高い商品でも当たり前のように売れるという仕組みなのです。
逆に消費者側はどうして高くても買うの?
では、デパートの戦略としてある程度、消費者側の心理的に高い金額でも買ってしまうというものをお伝えしてきましたが、それでもやはり冷静に考えると高いものは高いと感じるのがお中元やお歳暮です。
なのに、最終的には買って贈ってしまう不思議。
なぜでしょうか?
まずひとつには、季節ものということがあげられるでしょう。
たとえば、バレンタインはチョコレートを贈らなければならない。クリスマスはクリスマスらしいことをしなければならない。
お正月は祝わなければならない。
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どれも義務ではありませんが、日本人に根付いている一年間のサイクルというか、季節の習慣です。
そのひとつとして、
「お中元(あるいはお歳暮)のシーズンはお世話になった人に贈らなければならない」
というのが、決して必ずしも贈る必要はないのに、贈るという義務感がどこかに出てしまうのです。
他には、贈られたら贈り返す必要があるという、返礼の感情があげられます。
上司と部下では、上司がご飯を奢ったり仕事の面倒で返すこともありますが、親戚などといった立場があまり関係なく『挨拶』の気持ちで贈る場合は、互いに贈り合うことが必要になってくるでしょう。
それは、お互いの関係を良好にする為のやり取りですので、どちらかがやめようと言わない限りは、必然的に貰ったら別のものを渡し返すということが続いてしまうでしょう。
このような個人間の関係性によって、さまざまな贈る理由があるかと思います。
そしてなによりも、お中元やお歳暮にかこつけて普段の感謝の気持ちを伝えるというのが、消費者が高値でも買ってしまう最大の理由となります。
それがどういうことかというと、
「感謝の気持ちには値段が付けられない」
ということ。
まあ、本当に感謝をしているのかどうかは個人の感情によるところでしょうが、少なくても建前だけならそうなります。
さて、建前だけであろうとも適当にその辺りのスーパーで買った安物を、スーパーの袋で「はい、お中元(お歳暮)♪」と手渡しされても困惑しますよね。
何事にも『形』というものが必要となり、お中元やお歳暮はちゃんとした包装や箱に包まれて宅急便にて送ります。
そういったものを含め、ちゃんとした普段の『お礼』として贈るのがお中元やお歳暮なのです。
高いのはわかっていても、とりあえず形だけ整えておくという人が多いからこそ、デパート側も商売として成り立つのでしょうね。
まとめ
さて、お中元やお歳暮が高くても何で買うの?ということで話をしてきました。
高いのはわかってはいても、本当に形だけ贈るという形骸化したイベントになっている人も多いかと思います。
このあたりは、年賀状と同じで完全に商売側の戦略に乗せられて根付いてしまった文化の一つなのでしょう。