世の中には電卓検定なるものがあり、1級から初段になる頃にはまったくキー配置を見ずに高速で計算をすることが可能となってきます。
さて、この数字の配置のまま電話をかけてしまうとどうでしょうか?
まったく謎の番号にかかって繋がらなくなってしまいます。なぜかというと、逆だからです。
今回は、どうして電話と電卓のキー(数字)配置が逆なのかを解説していこうと思います。
本記事が参考になれば幸いです。
電話と電卓は配置が逆
案外気が付かない物で、電話あるいはFAX機と電卓の数字の並びが逆だということに気が付いたのは社会人になってから、という人もいるのではないでしょうか。
確かに、学生時代はスマートフォンは持っているでしょうが電話機というのは使わないですし、FAXなんてさらに使わないと思います。
電卓やパソコンのテンキーなどは使うかもしれませんが、わざわざ電話やFAXと見比べるということはしないでしょう。
ですので、社会人になると途端にこの両方を使いだすので両方の数字配置が逆になっていることに気が付く人が増えるのです。
あまりよく見比べたことがない、という人は家の電話機や手元のスマートフォンのアプリで確認が可能です。
電話機 | 電卓 |
とこれはiphoneのアプリですが、このように一目でわかるように逆配置になってしまうのですね。
もし電卓を見ないで早打ちできる人が電話をその感覚で打ったら押し間違いもいいところになってしまうのは間違いないでしょう。
ではなぜ、こんな真逆になってしまったのでしょうか?
電話と電卓の数字配置が違う理由とは?
なぜ電話と電卓の数字配置が違うのか?まさか、高度に複雑な事情でもあるのかな?
と思った人もいるかもしれませんが、裏を明かせば単純なことです。
電話は電話の、電卓は電卓の基準となる組織が違ったからということだけなのです。
つまり、
- 電話は国際電信電話諮問委員会(CCITT)
- 電卓は国際標準化機構(ISO)
の基準にのっとって決めたから分かれただけなんですね。
この二つの組織がちゃんと話し合って決めていれば統一されたのでしょうが、そこは世の常と言うか別の大きな組織が連携するということは残念ながらそうそうないわけですね。
たとえば、ポイントカードだって楽天カード、Tカード、dポイント、PayPay、LinePay、WAON、メルペイだのなんだの次から次へと新しいものが生まれているわけです。
クレジットカードだって、種類や機能が違うものがあり、さらには使用した際に加算されるポイントなども会社によって違うわけです。
要は、自分達の所をいかにメインに置いて利用者を増やすかというところに会社や組織は主軸を強くもつ傾向にあるので、おそらく最初から連携なんてこの組織のトップ連中は考えていなかったんじゃないでしょうか。
結局のところ、困惑して泣かされたり合わさせられたりしなければならないのは、利用者あるいは消費者ということですね。
電話と電卓の数字配置に意味や利点はあるの?
さてまあ、それぞれの組織がわざわざ合わせずにそれぞれの配置をしたのだから、何らかのユーザー側の利便性や意味があるものだろう。
わざわざ組織で決めたことなんだから当然あるだろうと考えるのが普通です。
が、残念ながら電話の配列についてはアメリカのAT&T(簡単に言えばアメリカの情報通信会社)が世界で一番最初に開発したプッシュホンにこの数字の並びをあてこんだから、という単なる慣習によるものが理由とされています。
一方で、電卓の方は利用頻度の高いであろう『0』と『1』を下にもってくることで、手の移動距離が短くなり打ち間違いが減るというちゃんとした理論的な理由をもって配置されたのです。
「や、どっちかわからないけど後に発売された方が合わせろよ!」
と思う人もいるかもしれませんが、たぶんそれは難しかったのではないでしょうか。
ここからは考察も含まれますが、世界初のプッシュホンができたのは1964年で、世界初の電卓が1963年の発売です。
1年の差はあれど、どちらも世界を大きく変える大発明といっていいものですから、この一年の差は開発期間などを考えると短く、ましてや違う組織の基準を使っているのですから合わせ込むのは難しかったのではないかと思われます。
さらにいえば、お互いが一度出してしまったもの。後から合わせるにしても『どっちがどちらに合わせるか』という問題がでてきます。
話し合ったところで互いに自分のところが優れていると主張するのが当然で、相手に合わせましたというのはその主張を折って相手の主張が正しい、相手の方が優れていると認めますといっているのと同じ心理になってしまいます。
利用する側は、
「どっちでもいい、くだらない。どっちでもいいから合わせればいいじゃん」
と思うかもしれませんが、開発者としてはプライドを持って造っているわけですので、他社に負けるような状態になり、さらに信念を折るというのは苦痛に他なりません。
ともすれば、提案そのものはあったかもしれませんが最初から争いになるのを避けて話し合いもしなかったということかもしれませんね。
いずれにしても、いまはこういう形になってしまって世界中に浸透してしまっているので、利用者側はそれを認識しつつ使っていくしかないのかと思います。
まとめ
さて、電話と電卓の数字配置の違いについてまとめさせていただきました。
両方を合わせて使うこともないですし、大半の人が目で数字のキーを認識しながら押しているので逆という感覚もない人が多いのかもしれません。
しかし、気が付くと案外違和感になってしまう人もいるでしょうし、理由を知りたいという好奇心のある人もいるかと思うのでまとめてみました。
本記事が参考になれば幸いです。